NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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保守主義・進歩主義・リベラル・パターナリズム

 民主的なシステムが一見非民主的・非制度的な慣行によってうまく回っていることは往々にしてある。例えば大正後半から昭和初期にかけての、立憲政友会と憲政会(後の立憲民政党)により二大政党制は、後継内閣総理大臣の奏薦を担当していた元老(端的に言えば西園寺公望)が「憲政の常道」を尊重していたからこそ回っていた。

 さらに現代でも、完全な共和制を志向する人にとっては恐らく相容れないであろう「天皇」という存在が、実は忠実な憲法遵守(敢えて「護憲」とは言わない)者として現行憲法下で機能していることも、その例として挙げられるかもしれない。

 西園寺公望は留学時に身につけた自由主義と、公家出身である「皇室の藩屏」としての意識を両方持ち合わせていた。昭和天皇や今上天皇は、もちろん天皇制の体現者でありつつ、ヨーロッパにおける立憲君主制の在り方も十分に理解している。もちろん、西園寺や天皇制に全く問題がないわけではないが、そのバランス感覚はリベラルと保守のハイブリッドと言えるかも。

 翻って、日本のLGBT運動(というか市民活動や運動の多く)は従来、いかに左派たるかを競っていて、より徹底して左派の立場に立つ人が理論的な優位性を保ち、徹底していない(と、より左派に立つ人が思う)人やグループを内部で叩くという構造だったように思う。しかし、そのような構図では、左派的な思想や政策が、中道や穏健な中道右派な人たちに受け入れられることは難しい。昨年12月の都知事選挙で脱原発&左派系統一候補とされた宇都宮健児さんが大敗を喫したり、やはり昨年12月の総選挙で脱原発勢力が議席数的に敗北したこと(これは小選挙区制の影響もあるが)を見ると、左派系の訴えが中道などに浸透していない現状がある程度読み取れると思う。

 なお、個人的には歴史を見て学び、自分自身色々経験を積むと、リベラルかつ保守も大切な存在だと思えるようになりました。LGBT運動をしている人の中でも、リベラル且つ保守を自認する人っていないような気がするから、それなら私がその位置についちゃえと思う今日この頃。中道やリベラルな保守って、セクシュアリティを問わず社会に相当数いると思われるものの、活動をしている人でそれを謳っている人ってなかなかいないから。

 ちなみに右派=保守ではありません。政治学的に、保守主義の対義語はリベラルではなく進歩主義。保守主義については中島岳志さんへのマガジン9によるインタビュー記事をご参照あれ。

 また、自由や自己決定権・社会的公正を重視する「リベラル」の対義語は、パターナリズム(権威主義や父権主義と訳される)。保守かつリベラルという人達もいれば、進歩主義かつ権威主義という人達もいる。右派=保守みたいな雑な理解だと、事態を正確に把握できないと思います。

 そこで、中島岳志さんと辻元清美さんの対談(@マガジン9)では、リベラル~パターナリズムをX軸に、リスクの社会化〜個人化をY軸に取った政界マトリックスが登場しています。2010年ということは、3年前だから若干古いけど、党派を問わずマトリックスの2と3辺りの人とは、例えば同性パートナーシップの法的保障について対話ができそうです。

 このマトリックス、例えば今なら、日本維新の会の中でも橋下大阪市長はどの辺りとか、石原前都知事ならこの辺りなど、考える手がかりになるかもしれません。どの政策について誰に働きかけるべきか、味方を見極めるツールになるかも。
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2013年1月13日開催 「LGBT施策の必要性を訴えるデモ」をめぐるやり取りから考えたこと

 1月13日に銀座界隈で開催されるLGBT施策の必要性を訴えるデモについて、昨夜、主催者である @nanaichigo さんと、遠藤まめたさんTwitter上で対話を行ないました。この件について、自分の考えたことや意見を書いてみたいと思います。


 まず最初にお断りしておきますが、デモ主催者の @nanaichigo さんには、「訴える対象が誰か」「デモ後の具体的な動きは?」について事前に個人メールで質問をし、率直なお答えをいただきました。さらに遠藤まめたさんは、私が最も信頼し尊敬するアクティビストのお一人であり、政治を具体的にどのように動かすのかについて、近い認識を共有していると感じています。こうした前提を踏まえた上で、以後、私の考えをツイートします。


 今回のデモ公式サイトを読むと、P-WAN実施のジェンダー政策アンケートで、自民党が「性的マイノリティ(LGBT)に対する差別や社会的排除をなくす」ことへ「どちらかと言えば反対」と回答したことを契機としているようです。


 以前にもこのアンケート関連でツイートしましたが、私と連れ合いのユニット 東京メトロポリタン ゲイフォーラム(TMGF)では、ゲイに関する政策について政党や立候補予定者へのアンケート調査を2001年以来実施してきました(昨年12月の総選挙&都知事選挙では実施せず)。TMGF政策調査アンケートの回答を読むと、政党向けアンケートの回答を作成するのは、党の政調担当職員か事務局職員であることがほとんどです。逆を言うと、立候補予定者(当選後は議員)のほとんどはアンケートの存在すら知らないことが多いのです。


 だから、P-WANジェンダー政策アンケートの結果のみを基準に、自民党の議員全体がダメとは個人的に思いません。現にP-WANとは別の団体によるアンケートでは、LGBT関連施策に積極的な自民党候補(当選したので議員)もいます。そうした議員には「お宅の党、こう言ってますが、ご存知ですか?」と話しかけるチャンスとも言えます。


 さて、20代の私であれば、今回のP-WANジェンダー政策アンケートの回答を受けて、やはり自民党へ抗議のアクションを起こしていたかもしれません。若しくは、当時担当していたAll About同性愛の政治コラムで自民党へ批判的な記事を書いていたかもしれません。しかし、30代に入り、東京プライド理事として渋谷区長・新宿区長との面会に同席した貴重な経験、そして警視庁担当者との交渉にも同席させていただいた経験から、行政は最初から敵対すべき存在では決してないということをあらためて痛感しました。


 また、連れ合いが区議会議員になってからは、地域レベルで各政党の方々と接する機会も増えました。当初はLGBTに対して否定的な言動を取ってきた人も、連れ合いと対話や情報交換を重ねるうちに、意見の違いはあってもLGBTに対して否定的な言動を取らなくなりました。もちろんそれでもLGBTに対して悪意を持つ政治家がいることは否定しません。しかし、顔が見えて、なおかつ対話を行おうとする有権者をむげに扱う政治家(=議員)というのは、そうそういないのもまた事実です。


 つまり、意見の異なる相手に対して最初から抗議を行なうのではなく、一見地味ではありますが対話や交渉を行なうことこそ、一歩ずつ事態を良い方向に進める上で重要ではないかと個人的には思うのです。また、政治というものはそもそも「多様な人々の、多様な利害を調整する行為」です。そういった意味からも異なる意見の人達とこそ、対話や交渉を行なうことが重要ではないかと思います。


 さらに間接民主制(=議会制民主主義)を取る日本では、その重要なアクターである政治家(議員)や政党に対して具体的に働きかけることが重要であると思います(これは直接的な示威行為であるデモの意義自体を否定するものでは全くありません)。だからこそ、デモ(直接的な示威行為)を行なうのであれば、少なくとも主催者はデモとは両輪で具体的な政治上の動きも取る必要があるのかな、とこれまでの経験上、私は感じています。


 あくまでこれは、「少しずつでも政治を具体的に動かすためにはどうしたらよいか」という視点からの意見なので、そもそも違う目的でデモを行なう場合、あまり参考にはならないかもしれません。ただ、単に政権与党への抗議が目的のデモであるならば、各政党や議員へ全方位的にロビイングを行なっている団体や個人、そして公的なLGBT施策や事業に携わっている人にとっては、参加しづらいものになるかもしれません。


 以上、長々と考えや意見を書きました。最初にお断りした通り、デモ主催者の @nanaichigo さんには、「訴える対象が誰か」「デモ後の具体的な動きは?」について事前に個人メールで質問をし、率直なお答えをいただいております。その点、心から感謝いたします。また、Twitterで話題提起を行なってくださった 遠藤まめたさんにも心から感謝いたします。こういった話題を公開で展開するのはきっとしんどいと思うのですが、重要な問題提起であったと思います。


 これはあくまで個人的な意見なので、今回のデモ主催者さんサイドと「LGBT関連施策における、政治に対する具体的な働きかけ」で連携できる点があれば、個別具体的に(且つ、恐らくSNS以外の場所で)繋がれればなぁと思っています。また、今回のデモとはまた別に、自分が所属している組織で取り組んでいるロビイング活動については引き続き頑張って行きたいと思っています。さらに、現実的な中道若しくは中道左派として、「政治を少しでも動かす」ための新たなアクションも起こせたらと思っています(今年の目標)。 

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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