NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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超党派的活動と党派的活動の分化が必要

  2つ前のブログ・エントリー「LGBT政策の実現に向け、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきか?」の続編です。

 「LGBT政策の実現に向け、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきか?」では、

(1)合法的に使えるものであれば何でも使って、政策実現を図るのが、本来的なロビイング団体。仮に、LGBT政策を現実的に進めたいと考えている、戦略的で透徹しているロビイストであれば、「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と問われたとしても、迷わず即座に「Yes」と答えるであろう。

(2)LGBTが社会的な認知を得ていくということは、かつてのような「LGBT政策=進歩主義的・左派的」という専売特許的な構図が崩れ、(その人の内心や本心はどうであれ)各党派でLGBT政策の必要性を唱える議員が増える事を意味する。

(3)そうした時に、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきなのか?この点は、ロビイストや圧力団体以外のLGBT当事者や支援者にとっては悩ましい問題になってくると思われる。

という点について触れました。

 (1)で触れた通り、ロビイ活動を通じて、LGBT関連の政策・施策を現実的に実現したいと考えるならば、「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はさておく」という切り分け(というか冷徹な割り切り)が必要になってくるのだと思います。

 さらに(2)で触れたように、今後は、各党派でLGBT政策・施策の必要性を唱える政治家が増えることが予想されます。そうした状況において、ロビイストや活動家が影響を及ぼそうとするためには、多様な関係者=各党派の政治家への働きかけ、いわゆる「全方位外交」が必要となってくるからです。

 さて、欧米各国では、「全方位外交」を行なうLGBTロビイング団体の他に、「各政党の党員による、党内当事者・支援者グループ」「各政党の支持・支援団体や圧力団体メンバーによる、団体内当事者・支援者グループ」というものがあります。それらのグループは、自分たちが所属する/支援する政党や団体内部に働きかけ、LGBT政策・施策の推進を目指しています。

 例を挙げて言うと、アメリカ合衆国の共和党には、LGBT当事者・支援者の党員によるグループ「ログ・キャビン・リパブリカン(Log Cabin Republicans)」 http://www.logcabin.org/ が存在し、共和党がLGBT施策を推進するよう、共和党内部での働きかけを行なっています。

 翻って日本では、「LGBT政策・施策の実現に向け、超党派的にロビイング活動を行なうLGBT活動家・専門家や団体」「自らの党派性を明示した上で、党派的な活動の一環として、LGBT政策・施策の必要性を訴える活動家・専門家や団体」が、今まではやや未分化な状態であったかと思います。

 正確に言えば、「党派性を帯びた(=これ自体は悪くないし、生きている以上、党派的であること自体は当然なのですが)活動家・専門家や団体が、『LGBT(全体の利益)のために』と謳いつつ活動しているケース」が多かったという印象を個人的には持っています。率直に言えば、「あなた、それはLGBTコミュニティの一員として発言してるの?それとも、××党の党員・支持者として発言してるの?」と確認したくなる場面が、これまで何度も見受けられました。

 今後、LGBT政策・施策実現を目指す活動に厚みを持たせる上でも、「LGBT政策・施策の実現に向け、超党派的にロビイング活動を行なうLGBT活動家や団体」「自らの党派性を明示した上で、党派的な活動の一環として、LGBT政策・施策の必要性を訴える活動家や団体」が分化していくことが、個人的には望ましいと考えています。

 そうすることで、結果的に、超党派的なロビイストが透徹して動きやすくなるのではないかなぁと思います。
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社会契約を結び直すのは、今。

8月後半から9月にかけて、連れ合い氏と家で夕食を取りながら、ある話題を繰り返していた。

「日本で『フランス人権宣言』のような人権宣言って、国会で採択できないものかね?」と。

現在のフランス第五共和政憲法は、ド・ゴールによってフランス第四共和政が打倒された後に作られた憲法であり、大統領の執行権が強化されているなど、強力な行政が特徴的。

が、前文を見ると「前文において「1946年憲法(=第四共和政憲法)で確認され補充された1789年宣言(=フランス人権宣言)によって定められたような、人権および国民主権の原則に対する愛着を厳粛に宣言する」とされており、フランス人権宣言の精神と規定をベースにする事が明記されている。

アメリカは、合衆国憲法を制定する前のアメリカ独立戦争(革命戦争とも)中に、基本的人権や革命権(=抵抗権)などについて規定する「アメリカ独立宣言」を発している。

イギリスは不文憲法の国だけれど、古くは「マグナカルタ」、そして名誉革命を経て発布された「権利の章典」などが、不成典憲法の重要な構成要素となっている。

上記の国の中でも、特に成文憲法の形態を取るアメリカやフランスでは、過去に憲法改正や条文修正、新憲法の制定が行われてきた。しかし、その場合も、「フランス人権宣言」や「アメリカ独立宣言」の趣旨を否定するような憲法改正や修正などは行なわれなかった。


翻って、日本。ここ半年ほど振り返るだけでも「個人主義=利己主義」「国民主権というのが間違っている」「天賦人権説という考え方を取らない」と言った、日本国憲法の精神を否定するような発言が、(残念ながら与党第一党の)国会議員によってなされている。

何故、憲法の精神を否定するような発言が、国会議員によって簡単になされるのか?連れ合い氏と話し合った結果、「『フランス人権宣言』や『アメリカ独立宣言』のような、市民革命の末に発せられた人権宣言がないからではないか?」という結論になった。

アメリカやイギリス、そしてフランスの為政者達が、「基本的人権」「国民主権」、そして「立憲主義」を踏みにじる憲法改正や立法を行わない理由。それは、憲法的価値が、人権宣言(や、その引き金となった市民革命)に裏打ちされたものであることを理解しているからではないか。

もちろん、日本国憲法の成立過程は、憲法の内容や価値を損なうものではないし、2015年の現在、武力を以って市民革命を起こせと言うつもりも毛頭ない(付言すると、法学部出身である自分は、「八月革命説」という学説も一応知っている)。


明治時代の自由民権運動は、市民革命たり得たかもしれない動きであり、同時代としてはかなり先進的な「五日市憲法草案」などの私擬憲法も作られている。

*ちなみに余談になるが、「五日市憲法草案」については、皇后陛下が、2013年の誕生日に宮内記者会からの質問回答文書でしっかりと触れている。こういう点を見ると、現天皇・皇后両陛下は、つくづく憲法の遵守者だなぁと思う。

http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h25sk.html

しかし、残念ながら、近代と呼ばれる時代に、日本で市民革命が完遂されることはなかったし、人権宣言的なものが国会や制憲議会などで発せられることはなかった。

自由民権運動が完遂されなかった要素の一つ。それは幸か不幸か、当時の為政者のトップ(後に元老になるメンバー達)が立憲君主制の精神を相当程度理解しており、歴代の天皇も、決して立憲君主制の矩を越えた絶対君主たろうとはしなかった事だろうと、私は思っている。


それでは、どのようにすれば、武力によらない21世紀的な「自由民権運動」を完遂させる事ができるのだろうか?

それには、(本来は市民革命によって行なわれると擬制される)「社会契約」を新たに結び直す必要があるのだと思う。そして、「社会契約」を新たに結び直す具体的な方法とは、憲法的価値を守り、さらにバージョンアップさせるための憲法議論と改正作業を厭わずに行なう事なのだろうと思う。

例えば、私が同性間の婚姻を巡って、憲法24条の改正を強く主張するのも、この観点によるところが大きい。

法律改正で、婚姻に関する法技術的な問題はクリアできるかもしれない。しかし、憲法を改正した方が、婚姻やセクシュアリティ/ジェンダーの平等などを巡る社会契約の結び直しに資するのではないだろうか?この辺り、法律学的というより、明らかに政治学的な発想なのだろうとは、自覚している。

戦後、日本では「憲法的価値を守る=護憲」という構図が長年続いてきた。しかし、左派・中道左派・中道・中道右派・右派と、立場や党派の違う人々が各々の案を持ち寄って、憲法的価値を守りつつアップデートさせるための議論と改正作業をする(=社会契約を結び直す)時期に来ているのではないだろうか。

「社会契約を結び直すのは、今だ」と声を大にして言いたい。

LGBT政策の実現に向け、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきか?

アメリカ訪問中の自民党の稲田朋美政調会長が、9月30日にワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で行なった講演で、以下のような内容を述べたとのこと

・なお、講演全文は、リンク先参照
http://www.sankei.com/smp/premium/news/151001/prm1510010009-s.html

「すべての人を平等に尊重し、自分の生き方を決めることができる社会をつくることに取り組みます。個人は生まれつきさまざまな特徴を備えています。そのことを理由としてその人が社会的不利益や差別を受けることがあってはなりません。保守政治家と位置付けられる私ですが、LGBT(性的少数者)への偏見をなくす政策をとるべきと考えています」

「本日は私の個人的な考え方を披露しましたが、私は米国において保守派と位置付けられるのでしょうか。自民党は日本の保守政党ですが、その思想は多様です。大事なことは、個人個人の個性を評価し、潜在能力を完全に発揮できるように支援する社会をつくること。また、一生懸命に努力し、成功する人を評価し、努力しても成功しない、または成功できない人を支援する社会をつくることです」

……(10秒間黙考)。

「姐さん、事件です!ホントですか???」、と稲田氏のこれまでの言動を見てきた人なら、そう思ってしまうでしょう。

今回は在ワシントンのシンクタンクにおける講演であり、引用部分にもある通り「本日は私の個人的な考え方を披露しましたが」と、後で弁明できるための、ある種の「保険」がかけられています。

ちなみに、引用した部分は、稲田氏の政治信条についての文脈で出てきています。稲田氏は同講演で、自身の政治信条について、こう述べています。

「次に、私の政治信条は『伝統と創造』です。真の改革とは、伝統を守りながら新しいものをつくることです。伝統なき創造は空虚、しかし創造なき伝統は枯渇なのです。守るべきものは守らなければなりません。また、この目標を達成するために、継続した改革が必要なのです」

ここで述べられている政治信条自体は、いわゆる本来的な(=政治思想的な)保守主義であり、特に異論はありません。

ただし、稲田氏の場合、今までの言動を見ると、「あなたって、単なる伝統原理主義者じゃね?」と思わされる事が非常に多い。しかも、そこで前提とされている「伝統」も、古代からのそれではなく、たかだか旧民法時代からの100年強のものだったりします。

が、講演を行なった場所や、個人的な信条かどうかはともかく、これは、日本の国政与党第一党の政策責任者が行なった発言である事には、間違いありません。

恐らく、SNSで私と繋がっている人の多くは「そう言ったって、稲田氏は信用できない!」「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と思っていらっしゃる事でしょう。中道主義~穏健中道左派主義者の赤杉康伸としては、確かにそう思うところも多分にあります。

ただし、国政レベルにおけるLGBT政策を現実的に進めたいロビイストやロビイング団体等にとって、稲田氏の今回の発言は大いなる「好機」になる可能性があります。繰り返しになりますが、これは、国政与党第一党の政策責任者が行なった発言なのですから。

ロビイング団体を含む利益団体・圧力団体とは、政治学的に「特定の集団の利益を図るべく政治活動を行う団体で、目的を実現するために政治に組織的に影響力を及ぼす」(wikipedia「利益団体」より)団体のことです。合法的に使えるものであれば何でも使って、政策実現を図るのが、本来的なロビイング団体なのです。

仮に、LGBT政策を現実的に進めたいと考えている、戦略的で透徹しているロビイストであれば、「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と問われたとしても、迷わず即座に「Yes」と答えるでしょう。というか、ロビイストであるならば、そう答えなければ間違いなんじゃないかとさえ、私個人としては思います。

私は今、活動を全面的にお休みさせていただいてますが、ロビイング活動している時の自分ならば、やはり即座に「Yes」と言うでしょう。

LGBTが社会的な認知を得ていくということは、かつてのような「LGBT政策=進歩主義的・左派的」(「リベラル」という、曖昧に取り得る言葉は、敢えてここでは使いません)という専売特許的な構図が崩れ、(その人の内心や本心はどうであれ)各党派でLGBT政策の必要性を唱える議員が増える事を意味します。つまり、稲田氏発言のようなケースは、今後ますます増える事が予想されるわけです。

そうした時に、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきなのか?この点は、ロビイストや圧力団体以外のLGBT当事者や支援者にとっては悩ましい問題になってくると思われます(欧米諸国におけるLGBT活動も、そういった局面を経て、今日に至っています)。

「理念と利害」「理想と現実」にどう折り合いをつけていくのか。これはLGBT政策に限らず、政治について考え、そして実践する際の、永遠の命題なのかもしれません。

ちなみに。私個人としては、「議会勢力において中道右派・中道・中道左派が拮抗し(現在の日本においては、この点が既に難しいのですが…)、議論を経た上で、最終的に圧倒的多数の賛成でLGBT政策が実現する」ことが理想だったりします。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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