NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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「日本党」、もしくは町内会論

えっと、先にお断りしておきますと

日本刀、もしくは和食党(お箸の国の人だもの)の

間違いではないですよ、日記のタイトル。





実はその昔(といっても1~2年前ですが)、

高校世界史の参考書の校正バイトを

していたことがありました。





で、アジアの部分を校正していた時に

インド関連でヒンドゥー教に

触れていた箇所がありまして。

そこには、おおよそこんなことが

書かれていました。



ヒンドゥー教とは「インドの宗教」である。

もちろん宗教なので教義はあるが、

単なる宗教というよりは、生活上の慣習など

色々含んだ価値観の集合体のようなものである。





この部分、ずっと忘れていたんですが、

昨日、「インド」を「日本」に

「宗教」を「政党」に置き換えると

そのまま自由民主党の

説明になることにふと気付きました。





試してみましょう。



自由民主党とは「日本の政党」である。

もちろん政党なので政策・綱領はあるが、

単なる政党というよりは、生活上の慣習など

色々含んだ価値観の集合体のようなものである。





ほら、だいたい意味が通じるでしょ?



これで思い出したのが、

大学時代の政治学ゼミのY教授の話。



Y教授が、その当時の最大野党 新進党の代議士に

「新進党も明確に政策軸を打ち出してはどうか?」

と叱咤したところ、

「しかし先生、対抗する自民党には

 政策軸なんて存在しないんですから、

 こちらも軸を打ち出せるはずがありません」

と返されたらしい。





笑えない(というか情けない)けど、

何となく分かる話ではあります。

自民党は、護憲リベラル派から超タカ派まで

色々な考え方の議員が存在していて

政策軸なんてあったもんじゃない。



政策を実現させるための集団というよりは、

所属し存在することに意義を見出している

町内会のような集団ですよ、自民党は。



(だからといって、そんな状況にあぐらをかく

 当時の新進党も今の民主党も

 いかがなものかとは思いますが)





もちろん、自民党も個別には

政策を持ち合わせています。

政策新人類と呼ばれる

若手・中堅どころの議員も増えてきました。



が、他方でここ数年、自民党の

「日本党」化というものも

とても分かりやすい形で

表面化しているような気がします。



例えばここ数年、「日本」「伝統」を連呼して

「教育改革(=改悪)」を推進してるのはその一例。

福祉だって、介護の社会化はなかなか進まず、

「日本の美点」として家族による介護に重きを置く声が

自民党からは未だに止みません。





#ま、自民党の叫ぶ「伝統」というのは

#せいぜいが明治憲法や旧民法ができた時からの

#百年ちょっとのものなので、少し丁寧に分析すると

#簡単にボロを見せるんですけどね。





まぁ、でもここで自民党だけを責めるのはアンフェア。

そんな「日本党」が今年で満50年も続いているのは、

それなりの支持が綿々と続いているからなんですね。





2000年&2003年の総選挙で、自民党は

「農村・漁村部では強いが、都市部では弱い」

という評価を受けてきました。

しかし、今回の総選挙で自民党は首都圏でも大勝した。

これを以って、自民党の幹部は

「改革姿勢が受け入れられて、躍進した」

と言っています。





しかし、本当にそうでしょうか?





2005年総選挙の争点になった

郵政民営化法案をめぐるフィーバーは、

さながら2002年のサッカーW杯での

熱狂ぶりに近いものを感じました。





「(サッカーで)勝利するニッポン」を

「(優勢民営化で)改革するニッポン」に

置き換えると、とても分かりやすい構図です。

状況に流されやすいサポーターが多数いること、

そしてマスメディアが煽っていることも共通点。





恐らく、2002年当時、繁華街で気勢を上げていた

プチ・ナショナリスト気味のサポーターの多くは

今回の総選挙で自民党に投票したんだろうなと

僕は勝手に予想しています。





そして、「ニッポン」がテーマになった今回の総選挙で

自民党に対抗する民主党のキャッチコピーが

「日本をあきらめない」。これはいけません。

だって、「ニッポン」がテーマであれば、

「日本党」を50年間続けてきた自民党に

一日の長があるのは明白ですから。

しかも相手は小泉と来た。





先日、民主党の前原新代表に対して小泉首相が

「政権を取りたいなら、与党の政策に近づくことだ」

とアドバイス(?)したとの報道がありましたが、

これも結局「おまえも、ニッポンサポーターになっとけ」

ということでしょう。





さらにいうと、今回の総選挙で

民主党が勝ち越した我が故郷 北海道は

「ニッポン」熱に対して醒めていたのかもしれません。

ここ10年の不況で、「ニッポン」という共同体幻想から

いち早く抜け出しているのが北海道ではないかと。









で。





改革といったって「日本党」が主導している以上、

どうしたって「現状を保守するための改革」になるんですよ。

新しい社会や価値観を提示するものでは、決してない。



現に、郵政民営化法案だって、

昨年から今年春にかけての

法案作成段階で色々な抵抗に遭って、

かなりの骨抜きになっています。





自民党の命脈が尽きる日、それはきっと、

今までの町内会的な価値観では

社会が立ち行かなくなる日でしょう。



例えばそれは、少子化が究極の地点に達して、

出生率を元に計算されている社会保障制度が

完全に機能しなくなる日。



もしくは、介護の社会化が進まず、老老介護も増え、

家庭内・親族内の傷害・殺人事件が異様に増える日。



恐らくそんな日が来るまで、

自民党政権は続くんだと思います。

その日が次回の総選挙までにやってくるのか、

それともずっと先のことなのかは分かりませんが、

恐らく10年内にはやってくると、

僕個人的には思っています。











これで終わるとさすがに重いので

最後にLGBTIとの関連について。



「ニッポン」という町内会組織は

所属している多数派には優しいが、

そうでないものに対しては

とても排除的に機能するものです。



で、その多数派の視界に「LGBTI」という存在は

恐らく入ってないのではないかと思います。





こういう「町内会」「多数派」を相手に

例えば同性パートナーシップ法の必要性を訴える

難しさをイメージしてみてください(阿久津先生)。



政策論や法律論、そして技術論でのレベルではなくて、

「同じコミュニティにLGBTIを入れるのがイヤ」

というレベルでの反対が一番対処しにくい。

議論以前のレベルの状況では、

相手への説得が効果を挙げないわけですから。





この山を越えるのに、

やっぱり最低10年はかかるだろうと

僕個人的には思っています。

「相手を徐々に説得していく」のか

「(例えば政権交代で)社会ごと変えていく」のか

アプローチは様々でしょうが、

骨の折れる作業になるのは必至。

「海外で同性パートナーシップ法が次々とできているから」

という理由で楽観するのは禁物かと。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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