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LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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10年ぶりのゼミナール

 昨年の10月になるのですが、大学時代のゼミ友が結婚することになり、結婚式のため札幌へ帰省したことがありました。


 その結婚式で、大学卒業以来初めて会う友人もいて楽しかったのですが、その場で「来年(=つまり2009年)の春で学部卒業10周年イベントでもやらない?」という話で盛り上がりました。その翌月、ゼミ教官であった教授が所用で上京された際に、教授を囲み銀座近くで食事をしたのですが、やはり10周年記念イベントの話で盛り上がり、ぜひ開催しましょうという話になりました。


 そして、今年3月、その「学部10周年記念イベント」が挙行されました。


 正規カリキュラムのゼミ、そしてその後有志で継続した「自主ゼミ」にもお付き合いいただき、イギリス現代政治文献の英語講読や修士課程進学後にもお世話になったその教官は北大大学院法学研究科 山口二郎教授なのですが、山口教授のご提案で、温泉で10年ぶりのゼミナールを開くことになったのです。場所は北海道内の某温泉。今年1月に入院してから初めての北海道でした。


 今回のゼミナールのテキストは、昨年秋に出版された山口教授のご著書↓。


若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)
(2008/11/19)
山口 二郎

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 タイトル通り、今まであまり政治について接してきたことのない若者向けの入門本です。山口教授が今まで執筆されてきた本とは性格が違うのですが、これはこれでなかなか読みやすく、政治について今まで詳しくなかったという年下のゲイ友にも好評でした。この本を、「もう若くはない」30代半ばのメンバーがどう解釈するか、というゼミナールなのです。

 
 んで、実は誰がゼミナールの報告者を担当するかは直前まで決まっていなかったのですが、本番4日前(!)に幹事氏からの指名があり、私がレジュメ&報告担当になったのです。時間がありあまっていた学生時代ならともかく、社会人になってのこのタイトなスケジュールはきつかった…(苦笑)。本当はゼミ前夜に札幌に先乗りして、実家で過ごす予定だったのですが、結局本番当日に北海道入りすることになりました。でもその分、テキストの内容を濃密に読み込むことができたように思います。


 レジュメと報告のベースはテキストの内容に忠実に沿って進め、ところどころ挟む私見や感想として、自分が10年間携わってきたゲイ活動と絡めてお話をしました。


 「ゲイが抱える問題が、実は政治と関係する」という発想さえ持ち得なかった20代半ばの青年が、ゲイ活動に携わることで、「政治と自分」とを結びつけて語る言葉を初めて持ったこと。そして、活動を行なっていくうちに、立場が異なるものの同様な問題を抱える他者(ゲイである自分の場合は、既存の家族制度の枠から外れる単身者や事実婚カップルなど)の存在が視野に入ってきたこと。そういう過程を経て、単なる「少数者の我がまま」は、社会全体にとって有益な「権利の主張」になるということ。


 また、テキストの中で「理想はそう簡単に実現しないという覚悟をもった上で、それでも理想を追求する立場こそ正しい理想主義」「今の仕組みの中でうまく行っているところを受け容れるという意味で、現状を受け容れることも有意義な変革には必要」という意味で「懐疑的な進歩主義・楽観的な保守主義」という言葉が使われていました。この言葉は、2007年の一連の選挙を経た自分にとって、とても共感できるものでした。

 
 「人間の力によって世の中をよい方向に変えていくことができる」という理想主義(進歩主義)は、しばしば急進化して、革命に見られる「理想を共有しない者に対する暴力性・攻撃性」を持ちがちです。理想主義の行き過ぎに対するブレーキとして、現実主義(熟慮、常識、慎重さなど)を兼ね備える事の大切さを、自分はここ数年の失敗を経て身につけてきたのかもしれません。失敗した当時は随分と痛い目にも遭いましたが、今思うと、次の段階に進むために必要な過程だったのかもしれません。


 今回の10周年記念ゼミとは直接関係ないけれど、やはり学部時代の山口ゼミでマンハイムという人の『イデオロギーとユートピア』という文献を読んだとき、「保守主義(現実主義)」について同様な記述がありました。その当時、頭では分かったつもりでいたけれど、今振り返ると実感が持てていなかったような気がします。今回、自分の経験、そして『若者のための政治マニュアル』という優れた本を通して、「保守主義(現実主義)」への考察を深めることができたのだから、歳を取ることは素敵なことだなと思いました。

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 さて、ここまで自分語りが続いてきましたが、他のゼミメンバーはもっと素晴らしかった。学部卒業から10年を経て、各々自治体職員、研究者、記者という道を進んでいるのですが、学部生時代の切れ味の良さはそのままに、それぞれの仕事の現場で得た経験や考察を活かして、現実に根ざしたコメントを返してくれました。山口教授も心なしか楽しそうに見えました。
 

 ゼミ終了後はみんなで温泉に入り、食事をし、麻雀できるメンバーは麻雀に勤しみ(自分は麻雀ができないので、応援してました^^;)、その後25時過ぎまで教授&メンバー全員で語り合いました。結婚して配偶者連れで参加したメンバー、(今回は同行しなかったけど)子どもがいるメンバーもいて、10年間の時の流れを感じました。自分は教授&メンバーにはカミングアウト済みなので、とても居心地の良い会だったのですが、普段接する事のない「夫婦の話」「子育ての話」を聞くのは新鮮だったなぁ。子育てしている親御さんって、やっぱり偉いよなぁって思いましたもん。


 今回は学部卒業10周年記念イベントでしたが、これからは年に1度集まってゼミをしようよという話になりました。3月は年度末でドタバタしているので、来年は初夏あたりかな。いずれにしても楽しみです^^。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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