NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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遺言状(と思って書いた4月下旬作成のメッセージ)

今年4月26日、東京レインボーウィークの一環として、「gid.jp フォーラム32nd in 東京 セクシュアリティに関する当事者活動を考える」が開催されました。

私は昨年8月の時点で、このフォーラムへの出演依頼をいただき、快諾させていただきました。

が、その後の不調で、どうしても人前でお話ができない心身状態に陥りました。関係者・他の出演者の皆様、そしてご来場いただく皆様には大変申し訳ない思いでしたが、メッセージを作成し、当日、会場で代読していただきました。

その時は、伝えたい想いがある一方、精神状態が悪く(というか悲観的で)、最後は遺言状のような内容になったのですが、自分を振り返る縁(よすが)として、ここに公開したいと思います。

以下、代読いただいたメッセージです(後に見つけた誤字・脱字は修正しました)


gid.jp フォーラム32nd in 東京 
セクシュアリティに関する当事者活動を考える 
赤杉康伸 メッセージ
2014年4月26日

 ご来場の皆さま、企画・運営サイドやご出演のみなさま、こんにちは。

 東京都内で行われる国政選挙や自治体における選挙の際に、各政党や選挙立候予定者へゲイに関する公共政策アンケート調査を実施し、Web上で結果公開を行うユニット「東京メトロポリタン ゲイフォーラム」(以下、TMGF)で2001年から共同代表を務める赤杉康伸です。

 今年に入り心身ともに調子を崩し、日常生活に支障を来たす時期もありました。現在は最悪期よりも若干落ち着きつつある状態なのですが、「本番直前の出演キャンセル」「出演途中の不安定状態」になることは避けなければとの熟慮の末、本日はメッセージ代読という形を取らせていただくこととなり、最初に心からお詫び申し上げます。

 gid.jpの山本蘭さんから昨年8月に、本フォーラムへの出演依頼をいただいた際、「むしろ私自身、いわゆる『セクシュアル・マイノリティ向けの当事者活動』から最近は若干引き気味なので、その点をお話したほうが良いかな…とも思っております」と山本さんへ伝えました。それを受け、山本さんからは、「個人的には、なぜ『若干引き気味』なのかを聞きたいのですが」とのご返答をいただきました。

 そうした経緯もあり、私のパートでは、「1990年代半ば、ゲイ・アイデンティティ未確立で、ましてやLGBT活動に携わる前に、専攻の政治学徒としてまず学び、勃興期のNPO活動を見聞きしてきた人間が、15年間のLGBT活動を通して実感したこと。そしてこれからの課題と感じていること」を中心にお話を進められればと思っております。

 そのため、私がLGBT活動に携わる前史から少々始めさせてください。

 私がいわゆるゲイ・コミュニティ(活動団体やゲイバー)へ初めてアクセスしたのは、ちょうど15年前である1999年の春です。当時、札幌の実家に住んでいた私は学部から修士課程への進学期で、24歳の誕生日が間近な時期でした。

 ゲイ・コミュニティにアクセスする前の学部時代、私は政治学を専攻していました。その当時(1995~1999年)、私が所属する学部の政治学教授陣は、研究室の中に閉じこもるだけではなく、様々な市民活動団体と交流を持ち、現実社会への働きかけも行なう方々が多かったです。折しも、NPO法の立法化が政治日程に上っていた時期です。

 私もお世話になっていた教授の影響を受けてか、21歳から23歳頃の時期、キャンパス近くにあった、「北海道内のNPOをネットワーキング&サポートするNPO」の事務所によく出入りをしていました。そのNPOのメンバーの中には、当時弁護士で、その後、現職の札幌市長としてレインボーマーチ札幌でスピーチを行なってくださることになる、上田文雄さんもいました。

 私が各種NPOに携わっていた1990年代後半、NPO界隈でキーワードとなっていた言葉は「協働」です。この場合の「協働」とは、それまでとにかく対立的な立場にあった行政と市民(団体)が各々の特性を活かし、共通の政策や施策目的に対して活動することで、今までにないものを創り上げていくことです。その当時、「協働」について、字面上、私は分かったつもりでいました。

 さて、私が札幌でのゲイリブ活動に携わり始めた1999年はいわゆる、90年代ゲイリブの影響が濃厚でした。同性愛への偏見が感じられるメディア報道への抗議、献血問題における日本赤十字社への抗議、同性愛者への人権政策不作為に対する行政への抗議など。カミングアウトが今以上に難しかった時代背景を考えると、先鋭的・攻撃的になるのは止むを得ない部分も大きかったと思うのですが、ゲイリブ活動は当時、いわゆるプロテスト活動の側面が強かったように思います。

 2001年春、私は札幌から東京へ移住しました。そのタイミングで、冒頭の挨拶で触れましたTMGFを創設しました。各種選挙の際にアンケートを行なう中で、いわゆる保守と位置づけられる政党公認の候補者がゲイに関する政策に理解を示す回答を寄せてくださることもありました。

さらに、略歴に記載した「特別配偶者法全国ネットワーク」では、同性パートナーシップの法的保障実現を目的に、各政党・各国会議員へのロビイング活動を現在行なっています。そこでも、私たちの活動に理解を持ち、協力をしてくださっている国会議員は、まだまだ少数ながらも各党派に存在します。性的少数者の活動に限らず、とかく人間は、他者に対してレッテルを貼りがちです。が、最後は「個人個人がどのような意識を持っているのか」が重要なのだということを、これらの活動を通じて感じました。

 また略歴部分では字数制限上書きませんでしたが、私は2001~2003年に札幌の、そして2006~2007年に東京の、性的少数者を中心とするパレードの実行委員(正確に言うと、2007年は、当時の東京プライドプライドパレード主催元であった東京プライドの理事)としてパレード運営業務にあたってきました。

2003年のレインボーマーチ札幌では、その年初当選した上田文雄札幌市長がパレード後の集会に出席し、スピーチを行ないました。さらに、2007年の東京プライドパレードでは、厚生労働省と東京都の後援がつき、新宿区長・渋谷区長から祝福のメッセージが寄せられました。実は、祝福のメッセージを寄せていただくにあたって、新宿区長・渋谷区長との事前面談に業務として同席させていただいたことがあります。また、道路使用許可や車両などについての警視庁担当者との交渉にも同席させていただいたことがあります。

 2003年の札幌、そして2007年の東京、それぞれのパレード運営現場で感じた点。それは性的少数者関連の活動者にとって、行政は「対立ありき」な存在ではないなということです。もちろん立場も違いますし、見解が異なる部分もあります。しかし、一歩ずつでも現状を前進させるべく、お互いの立場や得意分野を尊重しながら「協働」することが大切なのだと、札幌での学生時代から10年経って、ようやく実感することができました。

字数制限上、これも略歴には書きませんでしたが、私は連れ合いである石坂わたるの中野区議会議員選挙も過去2回(2007年は落選、2011年は当選)手伝ってきました。その経験上、社会や地域の中で生きる顔の見える人間として、地域の色々な方々と協働していく必要性も痛感しました。もちろん、生理的にゲイや性的少数者に嫌悪感を示す人はいます。しかし、その人となりが分かっている状態で、それでもなお目の前にいるゲイや性的少数者を攻撃してくる人は殆どいないということも、選挙活動の手伝いを通じて痛感したところであります。


さて、話が前後しますが、私は大学時代、山口二郎教授という行政学専攻の先生のゼミに所属していました。山口教授は行政学のみならず、マスメディアで現代政治批評を行なうことも多いのですが、ゼミでは行政学や現代政治関連のみならず、政治思想系のテキストも題材としてきました。その中でもマンハイムの『イデオロギーとユートピア』という書籍は、ゼミから20年近く経った今でも、私の座右の書になっています。

  『イデオロギーとユートピア』の中で、最も感銘を受けたのは、「イデオロギーというと、とかく悪者や胡散臭いものと思われがちである。しかし、イデオロギーとは人が物事を見るときの『色眼鏡』である。イデオロギーという『色眼鏡』自体が悪者ではなく、『色眼鏡』をかけているという自覚の無さが問題である」という趣旨の部分です。

他の分野の市民活動もそうかもしれませんが、性的少数者の活動に強くコミットメントしていると、どうしても自分の「あるべき社会論」「あるべき正義論」が強くなりがちになるよう、個人的には感じています。率直に言うと、ゲイリブ活動に携わり始めた頃の私自身もその傾向が強くありました。

誤解や批判を恐れずに言うと、日本の性的少数者の活動(というか市民活動や運動の多く)は従来、いかに左派たるかを競っていて、より徹底して左派の立場に立つ人が理論的な優位性を保ち、徹底していない(と、より左派に立つ人が思う)人やグループを内部で叩くという構造があったように思います。あくまで個人的に受けた印象ですが。

しかし、「対立勢力」であると思い込んでいる方々も、当然ながら理念を持っています。仮に9割方、自説が正しいと思う場合も、相手の意見や理念にだって見るべきものはあるかもしれません。また、「9割方正しいであろう」自説を実現するに当たっては、世論を喚起し、行政や議員に働きかけて法律を作り、政策を実現させる必要があるわけです。「自分もまた『イデオロギー』という色眼鏡をかけている」という点について自覚的になることが、社会や政治を動かす場面では重要になるのではないかと思うのです。

 また、対立する相手方の理念をやっつけ、あくまで満額回答を求めるというのならば、それはもはや活動や政治ではなく「武力なき戦争」です。まして、多様性を旨とする性的少数者の活動を行なっている人間が、「武力なき戦争」をやってしまっては、多様性という大原則に背くことになるのではないでしょうか。政治学的に言えば、政治とは「多様な人々の、多様な利害を調整する行為」です。

加えて言うと、多様性という言葉自体、最近は使い勝手の良いマジックワードとして使われがちです。しかし、「個人的な内面は問わない代わりに、社会生活上、個人的感情をもとに相手の権利を侵害しない範囲で、嫌なヤツとも同じ社会で生きていく」という面が多様性の本質であると個人的には思います。決してキレイ事では終わらないのです。

現実的に性的少数者関連の活動を行ない、社会や政治に働きかける場面では、満額回答を得られることは少なく、むしろ譲歩や妥協を行なうことも多いのではないかと思います。しかし、現実の社会に色々な制約がある以上、政治や活動は、その制約の中で「よりマシ(better)」、もっと言うと「より悪くない(less worse)」を選ぶ現実的な行為です。日本では、譲歩や妥協はとかく批判されがちです。私も正直に告白すると、他者が苦渋の選択で行なったであろう妥協や譲歩を、思慮浅く批判したことがありました。そんなかつての自分への自戒も込めて言うと、性的少数者の活動に携わる人間こそ、理想を持ち続けつつ、現実に則して「よりマシ(better)」、「より悪くない(less worse)」選択を行なう柔軟性も持ち合わせていてほしいと思っています。

学生時代、私は市民活動や政治について考察できる機会に比較的恵まれていたと思います。しかし、私がそれらにおける真の重要性を実感したのは、自分が性的少数者の活動に従事し、10年近く経った30代半ばです。さらに、自分が活動を行なうにあたって抱えてきた悩みや問題について、活動を行なってきた諸先輩もかつて同様に直面してきたことを、やはり30代半ばに知りました。そうした面では、活動における歴史や経験の継承が、今後重要になってくることになるかもしれません。仮に、今までとは違う新しい活動を行なうにあたっても、歴史を知ることで、不必要な摩擦やリスクを予め避けることができるからです。

これまで述べてきた問題意識を特に30代半ば以降持ちつつ性的少数者の活動に従事してきました。しかし正直に言って、同様の問題意識を共有出来る人は少ないなぁと感じています。例えば、本日のフォーラム出演者でもある遠藤まめたさんは、深い部分で問題意識を共有できている数少ないお一人であると、個人的に勝手に思っているのですが(遠藤さん、突然お名前を出してしまって、ごめんなさい)。

15年間活動に従事してきた疲れと加齢(レインボーウイーク期間中に私は39歳の誕生日を迎えます)、そして問題意識をどう伝えていけばよいのかという悩みをここ数年抱えていたこともあってか、今年に入って、心身の調子を崩すようになってしまいました。

そうした経緯があり、TMGFの共同代表業務、特別配偶者法全国ネットワークの共同代表業務、そして連れ合いの区議会議員活動サポート業務を現在全面的に休養させていただいています。期限を決めていない休養なので、数カ月後にひょっこり活動を再開させるかもしれませんし、半年・1年・2年…場合によっては半永久的に活動から離れることになるかもしれません。

ただ、こんな自分にも、本日述べさせていただいたような経験や考え方を、現在進行形で活動している方々に伝える役割は果たせるのかなとも思っています。もちろん、心身ともに快復し、活動を再開できればそれがベストです。もし、私が心身ともに快復して、活動を再開させることができたら、本日出演されている皆さま、そして会場にお越しの皆さまと「協働」できれば良いなと思っています。その時はどうかよろしくお願いします。また、休養期間が長引くことになっても、理想を持ちつつも、現実と折り合いをつけながら活動を行なう仲間のことを、常に心から応援したいと思っています。

取り留めのないお話で恐縮ですが、以上をもってメッセージとさせていただきます。

2014年4月26日 
赤杉康伸

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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