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LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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LGBT政策の実現に向け、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきか?

アメリカ訪問中の自民党の稲田朋美政調会長が、9月30日にワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で行なった講演で、以下のような内容を述べたとのこと

・なお、講演全文は、リンク先参照
http://www.sankei.com/smp/premium/news/151001/prm1510010009-s.html

「すべての人を平等に尊重し、自分の生き方を決めることができる社会をつくることに取り組みます。個人は生まれつきさまざまな特徴を備えています。そのことを理由としてその人が社会的不利益や差別を受けることがあってはなりません。保守政治家と位置付けられる私ですが、LGBT(性的少数者)への偏見をなくす政策をとるべきと考えています」

「本日は私の個人的な考え方を披露しましたが、私は米国において保守派と位置付けられるのでしょうか。自民党は日本の保守政党ですが、その思想は多様です。大事なことは、個人個人の個性を評価し、潜在能力を完全に発揮できるように支援する社会をつくること。また、一生懸命に努力し、成功する人を評価し、努力しても成功しない、または成功できない人を支援する社会をつくることです」

……(10秒間黙考)。

「姐さん、事件です!ホントですか???」、と稲田氏のこれまでの言動を見てきた人なら、そう思ってしまうでしょう。

今回は在ワシントンのシンクタンクにおける講演であり、引用部分にもある通り「本日は私の個人的な考え方を披露しましたが」と、後で弁明できるための、ある種の「保険」がかけられています。

ちなみに、引用した部分は、稲田氏の政治信条についての文脈で出てきています。稲田氏は同講演で、自身の政治信条について、こう述べています。

「次に、私の政治信条は『伝統と創造』です。真の改革とは、伝統を守りながら新しいものをつくることです。伝統なき創造は空虚、しかし創造なき伝統は枯渇なのです。守るべきものは守らなければなりません。また、この目標を達成するために、継続した改革が必要なのです」

ここで述べられている政治信条自体は、いわゆる本来的な(=政治思想的な)保守主義であり、特に異論はありません。

ただし、稲田氏の場合、今までの言動を見ると、「あなたって、単なる伝統原理主義者じゃね?」と思わされる事が非常に多い。しかも、そこで前提とされている「伝統」も、古代からのそれではなく、たかだか旧民法時代からの100年強のものだったりします。

が、講演を行なった場所や、個人的な信条かどうかはともかく、これは、日本の国政与党第一党の政策責任者が行なった発言である事には、間違いありません。

恐らく、SNSで私と繋がっている人の多くは「そう言ったって、稲田氏は信用できない!」「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と思っていらっしゃる事でしょう。中道主義~穏健中道左派主義者の赤杉康伸としては、確かにそう思うところも多分にあります。

ただし、国政レベルにおけるLGBT政策を現実的に進めたいロビイストやロビイング団体等にとって、稲田氏の今回の発言は大いなる「好機」になる可能性があります。繰り返しになりますが、これは、国政与党第一党の政策責任者が行なった発言なのですから。

ロビイング団体を含む利益団体・圧力団体とは、政治学的に「特定の集団の利益を図るべく政治活動を行う団体で、目的を実現するために政治に組織的に影響力を及ぼす」(wikipedia「利益団体」より)団体のことです。合法的に使えるものであれば何でも使って、政策実現を図るのが、本来的なロビイング団体なのです。

仮に、LGBT政策を現実的に進めたいと考えている、戦略的で透徹しているロビイストであれば、「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と問われたとしても、迷わず即座に「Yes」と答えるでしょう。というか、ロビイストであるならば、そう答えなければ間違いなんじゃないかとさえ、私個人としては思います。

私は今、活動を全面的にお休みさせていただいてますが、ロビイング活動している時の自分ならば、やはり即座に「Yes」と言うでしょう。

LGBTが社会的な認知を得ていくということは、かつてのような「LGBT政策=進歩主義的・左派的」(「リベラル」という、曖昧に取り得る言葉は、敢えてここでは使いません)という専売特許的な構図が崩れ、(その人の内心や本心はどうであれ)各党派でLGBT政策の必要性を唱える議員が増える事を意味します。つまり、稲田氏発言のようなケースは、今後ますます増える事が予想されるわけです。

そうした時に、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきなのか?この点は、ロビイストや圧力団体以外のLGBT当事者や支援者にとっては悩ましい問題になってくると思われます(欧米諸国におけるLGBT活動も、そういった局面を経て、今日に至っています)。

「理念と利害」「理想と現実」にどう折り合いをつけていくのか。これはLGBT政策に限らず、政治について考え、そして実践する際の、永遠の命題なのかもしれません。

ちなみに。私個人としては、「議会勢力において中道右派・中道・中道左派が拮抗し(現在の日本においては、この点が既に難しいのですが…)、議論を経た上で、最終的に圧倒的多数の賛成でLGBT政策が実現する」ことが理想だったりします。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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