NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

社会契約を結び直すのは、今。

8月後半から9月にかけて、連れ合い氏と家で夕食を取りながら、ある話題を繰り返していた。

「日本で『フランス人権宣言』のような人権宣言って、国会で採択できないものかね?」と。

現在のフランス第五共和政憲法は、ド・ゴールによってフランス第四共和政が打倒された後に作られた憲法であり、大統領の執行権が強化されているなど、強力な行政が特徴的。

が、前文を見ると「前文において「1946年憲法(=第四共和政憲法)で確認され補充された1789年宣言(=フランス人権宣言)によって定められたような、人権および国民主権の原則に対する愛着を厳粛に宣言する」とされており、フランス人権宣言の精神と規定をベースにする事が明記されている。

アメリカは、合衆国憲法を制定する前のアメリカ独立戦争(革命戦争とも)中に、基本的人権や革命権(=抵抗権)などについて規定する「アメリカ独立宣言」を発している。

イギリスは不文憲法の国だけれど、古くは「マグナカルタ」、そして名誉革命を経て発布された「権利の章典」などが、不成典憲法の重要な構成要素となっている。

上記の国の中でも、特に成文憲法の形態を取るアメリカやフランスでは、過去に憲法改正や条文修正、新憲法の制定が行われてきた。しかし、その場合も、「フランス人権宣言」や「アメリカ独立宣言」の趣旨を否定するような憲法改正や修正などは行なわれなかった。


翻って、日本。ここ半年ほど振り返るだけでも「個人主義=利己主義」「国民主権というのが間違っている」「天賦人権説という考え方を取らない」と言った、日本国憲法の精神を否定するような発言が、(残念ながら与党第一党の)国会議員によってなされている。

何故、憲法の精神を否定するような発言が、国会議員によって簡単になされるのか?連れ合い氏と話し合った結果、「『フランス人権宣言』や『アメリカ独立宣言』のような、市民革命の末に発せられた人権宣言がないからではないか?」という結論になった。

アメリカやイギリス、そしてフランスの為政者達が、「基本的人権」「国民主権」、そして「立憲主義」を踏みにじる憲法改正や立法を行わない理由。それは、憲法的価値が、人権宣言(や、その引き金となった市民革命)に裏打ちされたものであることを理解しているからではないか。

もちろん、日本国憲法の成立過程は、憲法の内容や価値を損なうものではないし、2015年の現在、武力を以って市民革命を起こせと言うつもりも毛頭ない(付言すると、法学部出身である自分は、「八月革命説」という学説も一応知っている)。


明治時代の自由民権運動は、市民革命たり得たかもしれない動きであり、同時代としてはかなり先進的な「五日市憲法草案」などの私擬憲法も作られている。

*ちなみに余談になるが、「五日市憲法草案」については、皇后陛下が、2013年の誕生日に宮内記者会からの質問回答文書でしっかりと触れている。こういう点を見ると、現天皇・皇后両陛下は、つくづく憲法の遵守者だなぁと思う。

http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h25sk.html

しかし、残念ながら、近代と呼ばれる時代に、日本で市民革命が完遂されることはなかったし、人権宣言的なものが国会や制憲議会などで発せられることはなかった。

自由民権運動が完遂されなかった要素の一つ。それは幸か不幸か、当時の為政者のトップ(後に元老になるメンバー達)が立憲君主制の精神を相当程度理解しており、歴代の天皇も、決して立憲君主制の矩を越えた絶対君主たろうとはしなかった事だろうと、私は思っている。


それでは、どのようにすれば、武力によらない21世紀的な「自由民権運動」を完遂させる事ができるのだろうか?

それには、(本来は市民革命によって行なわれると擬制される)「社会契約」を新たに結び直す必要があるのだと思う。そして、「社会契約」を新たに結び直す具体的な方法とは、憲法的価値を守り、さらにバージョンアップさせるための憲法議論と改正作業を厭わずに行なう事なのだろうと思う。

例えば、私が同性間の婚姻を巡って、憲法24条の改正を強く主張するのも、この観点によるところが大きい。

法律改正で、婚姻に関する法技術的な問題はクリアできるかもしれない。しかし、憲法を改正した方が、婚姻やセクシュアリティ/ジェンダーの平等などを巡る社会契約の結び直しに資するのではないだろうか?この辺り、法律学的というより、明らかに政治学的な発想なのだろうとは、自覚している。

戦後、日本では「憲法的価値を守る=護憲」という構図が長年続いてきた。しかし、左派・中道左派・中道・中道右派・右派と、立場や党派の違う人々が各々の案を持ち寄って、憲法的価値を守りつつアップデートさせるための議論と改正作業をする(=社会契約を結び直す)時期に来ているのではないだろうか。

「社会契約を結び直すのは、今だ」と声を大にして言いたい。

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://novsblog.blog37.fc2.com/tb.php/478-94779fef

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

月別アーカイブ

最新記事

カテゴリ

未分類 (5)
日記 (131)
各種活動告知・報告 (117)
LGBT関連ニュース (114)
趣味(音楽・スポーツ等) (35)
ポリティカルなこと (65)
2009年 東京国際L&G映画祭 (2)
LGBT (0)

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2Ad

Template by たけやん

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。