NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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憎まれリブガマ宣言

前回の日記は久々にアクセス数も多かったのですが、まだ言いたいことを正確に言い切れなかった気がするので、この日記を書きます。

昨年の石坂さん選挙を引っ張り、そして一連の選挙を経て実感したのは、「自分はゲイアクティビストというより、政治過程論・現代政治分析が好きな政治学徒なんだな」ということでした。政治理論や思想・哲学がいわば「理念系」の学問だとすれば、政治過程(プロセス)研究なんてまさに、打算と利害、妥協が渦巻く、人間のいろいろな面を直視しなければならないジャンルです。でも私は、1993年の政治改革論議をきっかけに、まさにそこが出発点になって、高校3年生の身で政治学を志した人間なわけで。

政治過程論を齧った人間であれば、「人間の生活はさまざまな利害のレイヤー(層)に左右されており、ひとつの要素やアイデンティティだけでは、なかなか動かない」というのはある種の常識です。昨年参院選の尾辻さんのキャンペーンが、いわゆる「LGBTアイデンティティ祭り」になったのは、政治過程論的には非常にまずかったのは明白なんですが、それを指摘するのがあまり宜しくないとされる空気があったような気がします。現に自分は危うく自粛するところでしたが、やっぱそれじゃいかんということで、昨年11月にブログや日記、AAJの記事で少々書いてみたのを、ご記憶のマイミクさんもいらっしゃると思います。

さて、昨日の日記だけ読むと、私がGID特例法の子なし要件「だけ」撤廃に単純に反対しているように見えるかもしれませんが、事態はそれほど単純ではありません。政治・立法過程論的には、確かに政治のアクター(政党、議員、官僚など)にとって抵抗の少ない案で行ったほうがロスも少ないでしょうし、確実性も上がる。そこは私も理解できるのです。奇麗事だけでは決して政治は動かない。


ただ、5年前のGID特例法立法時は、当事者のロビイング活動のほかに、社会的にいろいろな追い風や共感があったからこそ成果を得たという側面があったはずなのです。上川さんの選挙初挑戦&当選、「金八先生」におけるGIDの取り上げ、自治体議会における意見書可決、などなど。そこが若干乏しいと感じられる今回、特例法の改正案議論は、社会的な共感を得るというよりも、関係者の中だけの「コップの中の嵐」になる可能性は高い。いや、喧々諤々の議論にさらすよりは、「コップの中の嵐」におさめて、確実に法案を通そうという考え方も大いにアリではあるし、そこを当事者以外が非難するのは筋違いかもしれません。それをおかしいと思うならば、自分たちで具体的なムーブメントを起こさなきゃ。

かように、政治は単純な主義・主張・理念だけでは語れない部分がある。理念・思想研究系の方々に「汚い」と批判されることがあっても(汗)、政治過程論的な指摘を今後も続けていこうと思う。「同性パートナー」出版時の頃の赤杉が好きだったという人からは、もしかしたら失望や批判を招くかもしれない。けれども、これが2008年の赤杉康伸のリアリティなのだし、自分の考えていることを発信していくしかない。

他方、政治におけるアイデンティティの表出をことごとく批判される方々もいる。そんな方々にとっては、例えばアイデンティティを掲げるパレードは胡散臭く感じるのだろうし、TMGFみたいな「ゲイ」を掲げるアクティヴィティもNGなのだろう。しかし、個人の最初のモチベーションみたいな部分まで、アイデンティティは否定されるべきものだろうか?大切なのは、最初は個人レベルな政治意識(アイデンティティ含む)を、色々な人たちと議論・交渉することで社会的な意識に育てていくことであって、アイデンティティは一概に否定されるものでもないと個人的には思う。

しかし、現実には「アイデンティティ祭り」派と「アイデンティティ批判」派に挟まれて、なかなか身動きが取れないのが、日本の「LGBTと政治」を取り巻く現状ではなかっただろうか?正直私も、両派に反論したいと思いつつ、立場上なかなかできず苦しかった。だって、私が何をやっても「石坂への利益誘導」「パレードの過剰な政治化」って2ちゃんねらーやWiki編集者に叩かれるんだもん(笑)。そんな狭いコミュニティだけにとらわれないゲイよ、アタシ(笑)。

でも、やっぱ、どっちにしても叩かれるって分かっているのならば、色々な組織や肩書きとは別に、個人活動としてブレイクスルーを起こすことにこれからの私は注力すべきなんだろう。これから数年、政治過程論をもう一度研究しなおしたり、LGBTの枠にとどまらず、議論や連帯ができそうな層とつながっていくことを、ほかの活動よりも優先させよう。他の活動や組織には私の替えはいくらでもいるけれど(むしろ、若い子には「早く席を空けろ」って思われている気も(笑))、今まで10年近い活動経験と政治過程論をミックスさせて動こうとしているゲイなんて、私以外にそうそういないでしょうし。

あぁ、書いてすっきりしたけど、「アイデンティティ祭り」派と「アイデンティティ政治批判」派の両方を敵に回した気がする(汗)。でも、いいや。今の自分の正直な気持ちだし。憎まれリブガマ宣言といったところかな。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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