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LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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自治体におけるLGBT政策・施策の展開について

(前エントリー「地方自治と私」との連作です)

先週木曜の10/29の夜、中野区内でとあるシンポジウムが開かれました。

私の友人・知人が運営に携わっている中野区内のLGBT当事者団体「中野LGBTネットワークにじいろ」と中野区によって共催された「すべての人々が暮らしやすい中野区をめざして」です。

当日はまず、永野靖弁護士が基調講演を行ないました。引き続き、田中大輔中野区長、田辺裕子教育長、山田正興医師、大江千束LOUD代表、永野靖弁護士によるパネルディスカッションが行なわれました(司会:山縣真矢 東京レインボープライド共同代表)。

シンポジウムの中で田中区長は、

「区民や職員が理解する機会を増やし、偏見を排して多様性を認め合える社会を作っていくために努力したい」
「ユニバーサルデザイン型の社会を目指す」

との発言を行ないました。田中区長が言う「ユニバーサルデザイン型の社会」は、「多様性(ダイバーシティ)を尊重する社会」にも言い換えられると思います。

私は普段から中野区議会をよく傍聴します。それで、住み替え支援事業やDV被害者支援などにおいて同性カップルを対象とする旨、田中区長や担当者が答弁しているのを実際に現場で耳にしています。

なので、今回のシンポジウムにおける田中区長の発言も、非常に「らしい」発言だなと思いました。良い意味でリップサービスをせずに、実効性のある個別的施策を目指すという点について、個人的には非常に好感を持っています。

なお、「個別的施策の中で対象に含める」という方向性は、かつて男女の事実婚カップルが取った戦略と共通するものがあります。その意味で、中野区におけるLGBT政策・施策は「事実婚アプローチ」と言えるかもしれません。

さて、日本国憲法第92条には、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」という規定があります。ここで言う地方自治の本旨とは、

(1)住民自治-住民自らが地域のことを考え、自らの手で治めること。つまり、地方自治は、その地域社会の住民の意思によって行われるべきこと。

(2)団体自治-地域のことは地方自治体が自主性・自立性をもって、国の干渉を受けることなく自らの判断と責任の下に地域の実情に沿った行政を行っていくこと。つまり、地方自治は国(中央政府)から独立した地域社会自らの団体(組織・機関)によって行われるべきということ。

の2つを指すと言われています。

つまり、自治体が自らの権能の範囲内で、国からの干渉を受けることなく、住民による意思決定に基づいて政策・施策や行政の在り方を決められるのが地方自治なのです。

となると、政策課題について、各自治体によって異なるアプローチが存在することになります。例えば同性カップルの保障という課題について見ると、

・渋谷区:条例を区議会で通し、その条例にに基づき、当事者が区へ申請を行ない、区がパートナーシップ証明書を発行

・世田谷区:首長の権限で策定される要綱に基づき、当事者が区へ宣誓を行ない、区が宣誓受領証を発行

・中野区:個別分野の政策・施策の対象に同性カップルを含み込ませる(事実婚アプローチ)

と三者三様です。

その自治体を取り巻く事情や状況に応じて(そして最終的には住民の判断に基づき)、政策・施策が各自治体で行われれば良いわけです。そこに優劣は存在しません。

もし、各基礎自治体(いわゆる区市町村)での取り組みに差異があることで不都合が生じるならば、その時は広域自治体(いわゆる都道府県ですね)や国へ、条例や法律・通達等の改正や新たな立法を働きかければ良いのです。

さて、最後にLGBT関連の政策・施策に関して、自治体における行政や議会へのロビイング、若しくは行政との協働を考えているみなさんへ。

以下のような要素を複合して分析した上で、どのような手法をとるべきか判断することをオススメします。行政や議会の状況に応じて柔軟に対応することが、ロビイングや協働では大切です。

・首長(基礎自治体では区市町村長)の意識やヤル気の有無

・議会における会派構成(分かりやすく言えば、「どの会派が○議席持っている」とか、「どの会派がキャスティングボートを握っているか」など)

・意識やヤル気のある行政職員の有無

・上記のような、意欲的な行政職員を後押しできるような議員の有無。こうした議員にロビイングすることも重要です。
(言い換えれば、「行政に対して何でも反対」な議員は、職員の問題意識やヤル気を削ぐ可能性があるという事です^^;)。

市民側がこうした分析を行なった上で、それぞれ特質が違う行政と協働する事ができるならば、有意義な政策・施策展開が実現されるのではないか…と個人的には思っています。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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