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LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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自治体における「同性パートナーシップ制度」報道に接して思うこと

2月27日、「横浜市長『同性パートナー条例制定予定なし』」という産経新聞の記事が配信されました。

記事の要点は、以下の通り。

・横浜市の林文子市長は、2/26の横浜市議会本会議で、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認めて証明書を発行する条例を、横浜市で制定する考えがないことを示した。

・林市長は、「悩みを丁寧に聞き、一人一人適切な支援につなげることが重要」「性的少数者の人権が守られるように引き続き支援する」と言及した。

・横浜市人権課の担当者は「(同条例制定には)課題の整理がまだ不十分。学識者の意見を聞きながら性的少数者が住みやすい都市にしていく」と説明。

・横浜市としては昨年11月から月に約2回、LGBT同士の交流の場として開催している「FriendSHIPよこはま」などの支援事業を引き続き推進する方針。

総体としては、当事者支援に関して着実な取り組みを進めていくという内容の記事なのですが、やはり見出しの「横浜市長『同性パートナー条例制定予定なし』」のインパクトが勝っている印象があります。

いわゆるメディアリテラシーの問題については、先月27日にアップしたブログ記事に詳しいので、そちらを読んでいただくことにして。

今回は、以下の3つの観点を指摘したいと思います。

(1)「同性パートナーシップ制度=性的マイノリティに関する施策の全て」ではない

同性パートナーシップ制度は、戸籍上の性別が同性同士のカップルに関する施策です。当然ながら、性的マイノリティには戸籍上の異性カップルもいるわけです。また、性的指向の他に、性自認に関しても取るべき重要な施策は沢山あります。

というわけで、「同性パートナーシップ制度=性的マイノリティに関する施策の全て」ではありません。

しかし、現状では、メディアも情報の受け手も、「同性パートナーシップ制度を進めない首長や行政=性的マイノリティに関する施策全体において遅れている」というレッテルを貼りがちです。


(2)「同性パートナーシップ制度=同性カップルに関する施策の全て」ではない

同性カップルに関する施策は、包括的なパートナーシップの保障の他に、個別的な政策もあります。

具体的には公営住宅(=条例で入居要件を定めることになっている)の問題、同性間DVの問題、公営病院における同性パートナーへの医療同意権の問題など。また、同性カップルに接する機会がある自治体職員や支援・相談職に対する普及啓発も重要な施策です。

包括的な施策だけではなく、個別的な施策も進んでいるのかを見た上で、その自治体のスタンスを判断する必要があると、私は考えます。


(3)同性パートナーシップの包括的保障は、自治体だけに任せておいてよい性質の課題なのか?

以前のブログでも書いた通り、地方自治の本旨とは、「自治体が自らの権能の範囲内で、国からの干渉を受けることなく、住民による意思決定に基づいて政策・施策や行政の在り方を決めること」です。

つまり、同じ政策課題についてであっても、各自治体によって異なるアプローチが存在することになります。そして、地方自治の本旨が貫徹されればされるほど、自治体間の差別化や差異が生じることになります。

「同性パートナーシップを何らかの形で証明する書類を、自治体として発行する/しない」の在り方も、地方自治の本旨に基づき、各自治体(の住民)が最終的にそれぞれ決めるべきことです。

しかし、自治体の条例や個別施策は、当然ながら国が定める法律に抵触することはできません。例えば「民法に定められている相続」「社会保障分野の法律で定められている遺族年金」の問題などは、自治体におけるパートナーシップ制度の管轄外です。

また、自治体の発行するパートナーシップ証明書類に基づき、異性間カップルに準じるサービスを同性カップルにも提供する民間企業が現れ始めました。

企業の変化自体は、社会を変革する要因として評価できるかもしれません。しかし、そのことは、同性カップルであっても、住んでいる地域によって受けられるサービスに差異が生じることをも意味します。

法律による制約事項を解決するためにも、同性カップルがどこに住んでいても同じサービスを受けられるようにするためにも、やはり国の法律を動かす必要があるのではないでしょうか?

「同性間における婚姻を可能にするもの」「諸外国におけるシビル・ユニオン的なもの」「フランスのPACSのような、同性間・異性間を問わない民事連帯契約的なもの」と、法律の類型はいくつかあると思います。

いずれの形態を取るかは今後の議論次第ですが、同性パートナーシップの包括的な保障を実現するために、国の法律を変えることの必要性をまず我々は認識すべきではないでしょうか?

その上で、それに向けて動いている議員さんや団体(「特別配偶者法全国ネットワーク(パートナー法ネット)」「EMA日本」など)を支援するのが生産的ではないかと、私は思います。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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