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LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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七生養護学校 裁判について

JUGEMテーマ:ニュース




 石坂さんが今年の3月末まで養護学校教員だったということもあり、七尾養護学校の裁判(記事中の説明参照)は気になっていたのですが、その裁判傍聴報告記を見つけたので、ご紹介を。記事中にも取り上げられている「寝た子を起こすな」という発想は、セクシュアル・マイノリティの人権活動についても関係してきそうですね。





>「七生養護学校『ここから』裁判」傍聴報告

>(JANJAN、2007/12/17)




「こころとからだの学習」について



 東京・日野市の七生養護学校では、子どもの実態に目を向けた「こころとからだの学習」という性教育を実践してきました。教職員が協力しあい、保護者とも連携をとりながら行っていたこの教育は、校長会が主催する研修などでも取り上げられ、高い評価を得てきました。



 ところが、03年7月2日、都議会である都議が同校の教育内容を「不適切」な性教育として取り上げ、質問のあった翌々日、この都議らは「視察」と称して都教委や産経新聞記者とともに同校を訪れ、対応した教員らに威圧的な態度で接し、産経新聞は「過激な性教育」などと報道し、教員らが工夫を重ねて作った教材は都教委によって持っていかれました。



 「こころとからだの学習」に関係した教職員は厳重注意処分などを受け、また、性教育について年間指導計画の変更が強制されたり、翌年には教員の大量異動が実施された結果、七生養護学校では子どもたちの実体に目を向けた「こころとからだの学習」ができなくなってしまいました。



不当な介入があったとして東京都などを提訴



 この問題に対し、市民、教職員、保護者ら総数8125名が申立人となり、東京弁護士会に「子どもの人権救済申立」を行い、05年1月24日、同弁護士会は、子どもの学習権及び教師の教育の自由を侵害するとして都教委に対し、没収した教材を返還し不当な介入をしてはならないとする「警告」を行いました。「警告」後も状況が変わらなかったため、教員と保護者31名は、真実を伝え、子どもたちの教育を取り戻すために、同年5月東京地裁に提訴しました。



 七生養護学校の教員や保護者らが提訴した「『ここから』裁判」口頭弁論が、12月13日(木)午後1時10分より、東京地方裁判所で行われました。原告の教員2名の証人尋問がありました。



 筆者が103号法廷に入ると、約100の傍聴席はほぼ満席に近い状態で埋まっていました。原告席は、原告と弁護人ら約30名、被告席には、被告の東京都他5名(東京都教育委員会、田代博嗣都議、土屋敬之都議、古賀俊昭都議、(株)産経新聞社)の関係者の人たちがそれぞれ座っていました。裁判官3名(矢尾渉裁判長、澤野芳夫裁判官、長博文裁判官)。



 矢尾裁判長が今日行われる人証調べ(原告教員2名)について、時間の配分(1人につきそれぞれ主尋問60分、反対尋問45分)の説明をしたあと、証人2名が宣誓を行い、裁判が始まりました。



原告の教員の証人尋問



 主尋問では、七生養護学校で行っていた「こころとからだの学習」とはどういうものであったのか、また、都議らが視察に訪れたときの状況とその後の学習内容の変更などについての質問がありました。



 元七生養護学校の教員だった2人の証人は、質問に対して以下のような趣旨の答えをしました。



 七生養護学校の在校生の約半数は隣接する東京都七生福祉園から通学しており、この七生福祉園は重度を除く知的障がい児がさまざまな理由で家族と離れて暮らしている施設であること。知的障がいのある子どもたちは「いやという感情」をうまく表現できなかったり、からだの変化にうまく対応できないことなどから、被害者にも加害者にもなってしまうことが少なくないこと。



 また、障がい児は自己肯定感を感じる機会が不足しており、とくに、家族と離れて暮らしている子どもたちが多い七生養護学校では、この自己肯定感が決定的に欠けている子どもたちが多かったことなどから、教員らは、子どもの気持ちを理解し、一緒に感じ、心に寄り添うことを大事にしてきた、と述べ、信頼関係を築くことと自己肯定感をもつことを学校の教育目標にしてきた、と語りました。



 「こころとからだの学習」は、七生養護学校で起こった子どもたちの性の問題行動をきっかけにはじまり、再発をふせぐためにはどうしたらいいかを議論し、辿り着いた結論が、子どもたちの自己肯定間の欠如が背景としてあること、教員集団が子どもたちを丸ごと受け止め、子どもたちの自己肯定感をはぐくむなかで「こころとからだ」について学んでいこうということになった、と述べ、このような経緯を経て「こころとからだの学習」は性に関する教育だけではなく、家族の再認識や被虐待児の「自己の育て直し」など多くの要素をもつ実践となった、と答えました。



 障がいのある子どもたちは図や言葉による説明だけでは抽象的で理解することが難しいので、視覚に訴えるために工夫して立体的な教材などをつくったり、小学部では「からだうた」という歌で体の部位を覚えるといった、それぞれの発達段階に応じたやり方で「こころとからだの学習」を実践してきた、と語りました。



 七生養護学校の「こころとからだの学習」は校長会主催の研修などでも取り上げられ、高い評価を得てきたことや、授業参観にきた保護者の中には、「とっても良い教育だ」と言ってくれる人や、「本当に素晴しい」と涙を流している人もいました、と語りました。

 しかし、この事件によって七生養護学校があたかも問題のある学校であるかのように思われ、教員らに対しても「問題のある学校からきた」ということで、厳しい目で見られたりすることもある、と語りました。



 視察については、あまりに障害者教育の現場を知らない都議らの人権無視の発言に涙を堪えながら立っていた、と語りました。産経新聞に載った記事は歪曲されており、事実と異なることを指摘しました。たとえば、教材が最初から保健室に並べられていたかのように書いてあるが、実際は、保健室を物色し、机の上に教材を並べて撮影したそうです。



 また、都議らが丁寧な発言をしたように書かれているが、実際は違うと語りました。たとえば、ファイルを持ち出そうとしたので、なにを持っていくのか尋ねると、「オレたちは国税と一緒だ」とか、「(保険室で対応した2人の教員に)この2人は出ていってもらっていい」とか、名前を尋ねると、「あなたたちに答える必要はない。あなたたちは命令される立場なんだ」などと答え、人権無視の威圧的な態度であったことを明らかにしました。



 都議らが視察をしているとき、保健室にきた子どもがその様子を見て、先生がいじめられていると思い、怯えた表情をしていたことに触れ、「子どもが、私がいじめられていると感じる視察なら、子どもたちが帰ったあとにしてほしかった」と語りました。また、校長らが都議らの言動や教材を持ち出されたことに対し、抗議をしなかったと述べました。

 この視察のあと、産経新聞は「過激な性教育」と報道し、教員らが工夫を重ねて作った教材は都教委によって持っていかれたそうです。教員たちは厳重注意を受け、性教育について年間指導計画の変更が強制され、大量の教員が異動になった、と述べ、その結果、七生養護学校では「こころとからだの学習」ができなくなったと語りました。



 現在の心情を問われ、2人はそれぞれの思いを語りました。



 「性教育は生きていくための教育。この事件によって子どもたちにとって必要な『こころとからだの学習』は、根元からぶった切られたと思っている。子どもたちの心のつらい部分を見ながら、先生たちは心も体もボロボロになりながら、どうやってこの子どもたちが明るく元気に生きていくことができるか、学校全体で考え、取り組んできた。一方的に都議らがやってきて都教委が迎合した結果、こんなことになってしまったことが悲しい。つらい思いをしている。あの子たちのことを考えると涙がとまらない。『こころとからだの学習』は養護学校だけでなく、学校教育全体に必要」



 「性の問題は障がい者に限らず、一生付き合っていかなければならない問題。子どもたちはからだの変化によって不安を覚える。都教委も(性教育の)必要性を認めている。この事件によって東京の性教育はほとんど壊滅状態。試行錯誤を繰り返し、いろんな人が模索しながらつくり上げてきた。それが、ある特定の考え方で壊滅した。今度の事件でだれが被害者か。それは子どもたち。養護学校の中から子どもたちに性の問題をきちんと教えることは厳しい状況。この事件が教員にもたらした傷跡は大きいことを裁判所にわかってもらいたい」



寝た子を起こすな



 反対尋問では、知的障がいのある低学年の子どもに「からだうた」で男性や女性の性器の名称を口にすることなどは学習指導要領に書いていないので、学習指導要領に違反すること、また、教材などを使って性教育を行うことは、(性行為の知識を与えることで)寝た子を起こすことになるのではないか、との指摘が、執拗に何度も繰り返されました。



 反対尋問に対し、証人は丁寧に答えていました。何度も同じ質問が繰り返されたため、養護学校で教材を使うのは教科書だけでは理解が難しいからであり、全体を見ないでその一部を取り出し、一方的に学習指導要領に載っていないことをもって、「こころとからだの学習」を批判することはおかしい、との趣旨の反論をしようとすると、「質問にだけ答えてください」と被告代理人が発言を遮りました。



 また、寝た子を起こすなということについて、証人は「学校で教えなくても、子どもたちはビデオや雑誌などいろんなところで性情報を入手することができる。寝ていられる状況を持ち続けることはできない」「二次成長を迎えたとき子どもたちは非常に不安になる。からだの変化が起こったとき、戸惑わないようにきちんと対応していくことが大事」との考えを述べました。



 最後に、原告代理人から反論がありました。東京都の性教育の手引きには、性教育の必要性が述べられていることや、人権委員会でもこの問題を重くみており、陳述書を提出していることなどが報告されました。



 次回は、08年1月24日(木)午後1時10分~午後5時。103号法廷。都教委と元校長の証人尋問。



筆者の感想



 在校生の約半数がいろんな事情で家族と離れ施設で暮らしている七生養護学校では、親に甘えることができず、心に淋しさを抱えている子どもたちが、教員たちの注意を引こうとしてわざと挑発するようなことを言ったり、机を蹴飛ばしたりする子がいるそうです。その子どもたちを正面から受け止め、子どもたちの心に寄り沿い、子どもたちが生きていく上で必要な教育を実践していた七生養護学校の「こころとからだの学習」が、教員たちの思いを汲むことなく、一部の都議や都教委らによって一方的に奪われてしまったことはきわめて大きな問題があると思いました。



 反対尋問で明らかになったように、被告側は、全体の一部を取り上げ、ことさらそのことを強調して問題を歪曲化したり、寝た子を起こすな、との主張を繰り返すだけでなく、子どもたちのためになにが求められているか、もっとも大切なその一点に思いをいたすことの必要性を感じました。



(ひらのゆきこ)



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記事、以上。





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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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