NOV'S BLOG

LGBTやSOGI(性的指向・性自認)に関する政治動向・理論や活動などについて、主に綴っているブログです。

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野党と、その支持者層に求められる覚悟

サッチャー&メージャー 保守党政権(1979~1997年)下の英労働党のように、苦節20年くらい耐え得る、(政権を担い得る)野党が日本にも必要だと思う。

政党は、与党でいる時は現実への対応に追われて、政策や組織の再編成はなかなか難しいもの。野党でいる時にこそ、そうしたリノベーションが可能だと思う。

イギリスの野党が「女王陛下の野党」と呼ばれるように、立憲政治には健全な野党勢力が必要だし、そうした野党を存在させるのは民主主義にとって必要なコスト。

与党と野党がお互い交替可能性を(肯定的に)意識し、同じプラットフォームを共有することで、与党も野党も安心してその役割を果たし得る。

日本にも、大正~昭和初期の憲政会~立憲民政党が苦節10年近くを耐えている前例があるわけだし、冷や飯覚悟で野党であり続けることは、決して不可能ではないはず。志のある党員とそれ相応の支持者層さえ、存在するのならば。

そういう意味で、今問われているのは、野党支持者の覚悟かもしれません。

私が「社会的=ソーシャルであること」を大切に思う理由

左派も右派も感情に訴えることで支持を調達しようとするけれど、対立する相手方とも「現実の諸制約の下での、論理的な制度設計や政策論」を共有できないと、政治は良くならない。

特に「市民社会」というプラットフォームの存在が希薄な日本では、対立する他者とも何かを共有しているという意識が薄いのかもしれない。

私が「社会的=ソーシャルであること」を大切に思う理由。

ロビイストの行動原理に関する考察と、赤杉からのお願い

以前のブログ記事にも少し書いたのですが、ロビイングやロビイストについて。

ロビイング団体を含む利益団体・圧力団体とは、政治学的に「特定の集団の利益を図るべく政治活動を行う団体で、目的を実現するために政治に組織的に影響力を及ぼす」(wikipedia「利益団体」より)団体のことです。

合法的に使えるものであれば何でも使って政策実現を図るのが、本来的なロビイング団体であり、そのように行動する人がロビイストです。

「どの党派であっても、使えるものは使う」という点において、戦略的で冷徹なロビイストは、「単一争点=シングルイシュー」主義者です。そのためには「全方位外交」を怠りません。

党派的な正しさを追求する勢力から、「一つの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と問われたとしても、戦略的で冷徹なロビイストなら、表情を変えずに「YES」と答えるでしょう。

また、ロビイストは、その性格上、立法過程の各アクター(各政党や議員、関係諸団体の首脳や幹部、国なら内閣や官僚、自治体なら首長や行政職員など)間の力学や構図を読み取る技術に長けることが求められます。

こうした傾向は、個人やコミュニティの「想い」「実存」に立脚しているアクティヴィストや研究者などから、反発を持たれやすいのが現状です。

何を言いたいかといえば、「党派的な勢力から『節操がない』と叩かれ、コミュニティ系アクティヴィストや研究者から『技術や戦略偏重』と叩かれるロビイスト。もし冷徹になりきれず、個人的な政治的良心を捨てきれないのならば、正直言ってこれほど割に合わないものはない」ということです。

以前、Facebookやtwitterでは書いたのですが、市民には市民の、コミュニティに根を張ったアクティヴィストにはアクティヴィストの、ロビイストにはロビイストの、そして政治家には政治家の、各々の行動原理があります。どれが良い/悪いという話ではなく、持ち場というかそれぞれ役割が違うだけなのだと思います。

自分は、自治体議員のパートナーであり、SOGI政策関連でロビイングもちょっとしているということで、行動原理もロビイストや議員サイド寄りになっているのは、自覚しています。

恐らく、今の私=赤杉に対してイラッとした感覚を持っている「党派的な正しさを追求する方々」「LGBTコミュニティ系アクティヴィストや研究者の方々」はそこそこいると思います。でも、行動原理がそもそも異なっているわけです。

率直に言います。SOGI政策に関して、私に対して「党派的な正しさ論」や「アクティヴィスト的な熱さやプライド論」は、当面の間、期待しないでください(そもそも期待されてない可能性も高いですが)。

政治について考え方の近い方とは、個人的に党派的なお話などをすることもあるかと思いますが、しばらくはロビイスト的な観点で動いたり考えたりしてみようと思います。

それでも、コミュニティに育てられた人間として、コミュニティに根を張ったアクティヴィストさんを尊敬しています。いがみ合わずに、お互いに上手く役割分担ができれば良いなと思っています。

同性間パートナーシップの包括的保障を実現させるために必要な考え方の整理


政策提言や立法過程への働きかけを行うにあたっては

・実利(=実際の不利益を解消する政策・施策)が欲しいのか、象徴(=社会に対する問題提起・意識喚起・普及啓発など)が欲しいのか

・どのレベル(基礎自治体・広域自治体・中央政府)に働きかけるのが妥当か

を見極めることが重要です。

同性カップルの問題について、個別分野のレベルでは、自治体による政策・施策も有効です。ただし、民法等の改正が必要な、相続・財産分与・親権等の家族法規定については、中央政府(=国)レベルでの働きかけが不可欠なのも事実です。

中央政府レベルでの働きかけにおいては、以下の選択肢が考えられます。「どの選択肢を当面の目標とするか」「最終的なゴールをどこに置くか」という点についても、意識的になる必要があると思われます。それによって、「既存の法制度改正」「新たな法制度の創設」「(場合によっては)憲法改正」と、取るべき手段も明確になってくるでしょう。

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以下、考えられる選択肢

・異性間の事実婚に準じた、同性カップルの取り扱い(国連の自由権規約委員会は、少なくともこのレベルを求めています)

・フランスのPACSに代表される、民事連帯契約的な制度

・いわゆるシビル・ユニオン(俗に言う、同性パートナーシップ法)

・同性間における婚姻

自治体における「同性パートナーシップ制度」報道に接して思うこと

2月27日、「横浜市長『同性パートナー条例制定予定なし』」という産経新聞の記事が配信されました。

記事の要点は、以下の通り。

・横浜市の林文子市長は、2/26の横浜市議会本会議で、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認めて証明書を発行する条例を、横浜市で制定する考えがないことを示した。

・林市長は、「悩みを丁寧に聞き、一人一人適切な支援につなげることが重要」「性的少数者の人権が守られるように引き続き支援する」と言及した。

・横浜市人権課の担当者は「(同条例制定には)課題の整理がまだ不十分。学識者の意見を聞きながら性的少数者が住みやすい都市にしていく」と説明。

・横浜市としては昨年11月から月に約2回、LGBT同士の交流の場として開催している「FriendSHIPよこはま」などの支援事業を引き続き推進する方針。

総体としては、当事者支援に関して着実な取り組みを進めていくという内容の記事なのですが、やはり見出しの「横浜市長『同性パートナー条例制定予定なし』」のインパクトが勝っている印象があります。

いわゆるメディアリテラシーの問題については、先月27日にアップしたブログ記事に詳しいので、そちらを読んでいただくことにして。

今回は、以下の3つの観点を指摘したいと思います。

(1)「同性パートナーシップ制度=性的マイノリティに関する施策の全て」ではない

同性パートナーシップ制度は、戸籍上の性別が同性同士のカップルに関する施策です。当然ながら、性的マイノリティには戸籍上の異性カップルもいるわけです。また、性的指向の他に、性自認に関しても取るべき重要な施策は沢山あります。

というわけで、「同性パートナーシップ制度=性的マイノリティに関する施策の全て」ではありません。

しかし、現状では、メディアも情報の受け手も、「同性パートナーシップ制度を進めない首長や行政=性的マイノリティに関する施策全体において遅れている」というレッテルを貼りがちです。


(2)「同性パートナーシップ制度=同性カップルに関する施策の全て」ではない

同性カップルに関する施策は、包括的なパートナーシップの保障の他に、個別的な政策もあります。

具体的には公営住宅(=条例で入居要件を定めることになっている)の問題、同性間DVの問題、公営病院における同性パートナーへの医療同意権の問題など。また、同性カップルに接する機会がある自治体職員や支援・相談職に対する普及啓発も重要な施策です。

包括的な施策だけではなく、個別的な施策も進んでいるのかを見た上で、その自治体のスタンスを判断する必要があると、私は考えます。


(3)同性パートナーシップの包括的保障は、自治体だけに任せておいてよい性質の課題なのか?

以前のブログでも書いた通り、地方自治の本旨とは、「自治体が自らの権能の範囲内で、国からの干渉を受けることなく、住民による意思決定に基づいて政策・施策や行政の在り方を決めること」です。

つまり、同じ政策課題についてであっても、各自治体によって異なるアプローチが存在することになります。そして、地方自治の本旨が貫徹されればされるほど、自治体間の差別化や差異が生じることになります。

「同性パートナーシップを何らかの形で証明する書類を、自治体として発行する/しない」の在り方も、地方自治の本旨に基づき、各自治体(の住民)が最終的にそれぞれ決めるべきことです。

しかし、自治体の条例や個別施策は、当然ながら国が定める法律に抵触することはできません。例えば「民法に定められている相続」「社会保障分野の法律で定められている遺族年金」の問題などは、自治体におけるパートナーシップ制度の管轄外です。

また、自治体の発行するパートナーシップ証明書類に基づき、異性間カップルに準じるサービスを同性カップルにも提供する民間企業が現れ始めました。

企業の変化自体は、社会を変革する要因として評価できるかもしれません。しかし、そのことは、同性カップルであっても、住んでいる地域によって受けられるサービスに差異が生じることをも意味します。

法律による制約事項を解決するためにも、同性カップルがどこに住んでいても同じサービスを受けられるようにするためにも、やはり国の法律を動かす必要があるのではないでしょうか?

「同性間における婚姻を可能にするもの」「諸外国におけるシビル・ユニオン的なもの」「フランスのPACSのような、同性間・異性間を問わない民事連帯契約的なもの」と、法律の類型はいくつかあると思います。

いずれの形態を取るかは今後の議論次第ですが、同性パートナーシップの包括的な保障を実現するために、国の法律を変えることの必要性をまず我々は認識すべきではないでしょうか?

その上で、それに向けて動いている議員さんや団体(「特別配偶者法全国ネットワーク(パートナー法ネット)」「EMA日本」など)を支援するのが生産的ではないかと、私は思います。

「受益に見合う負担」と「民主主義に要するコスト」~「社会」なき日本政治に関する一考察

「高福祉には高負担(と、それ相応の健全財政)が必要」という意識の下、公約として増税を国政選挙で掲げようとした故 大平正芳さんや菅直人さん(大平さん:1979年総選挙、菅さん:2010年参院選)。そんな彼らが党内事情により、増税の公約化を断念せざるを得なくなる日本政治は、悲しい。

宏池会の領袖だった大平さんと、社会民主連合出身の菅さん。穏健保守や(欧州的な)社民主義には、「ある程度充実した福祉には、それ相応の負担が必要」という原則があり、二人ともそれに忠実であろうとしたのだと思う。二人とも蔵相・財務相経験があるのも、興味深い。

政治において、「打ち出の小槌」なんて結局のところないのだから、受益にはそれ相応の負担が必須なわけだけど。日本では保守主義を標榜する政党も、社会民主主義を自称する政党も、進歩主義に立脚しているであろう政党も、選挙時に決してそこに触れようとはしない。

国会議員の定数について、削減しろという声は多数だが、「巨大な行政をチェックする立法府」という観点から、定数を維持すべきという声はほとんど聞こえてこない。国民性という言葉で片付けるのは嫌いだけど、「民主主義にかかるコストを払いたがらない」のは国民性なのかと思ってしまう。

「(政治の場でも、市民同士の場でも)立場の違う人とも社会を構成し、プラットフォームを共有し、公共性をともに作り上げている」感覚が有権者・政党ともに薄いから、「福祉に見合った負担」「民主主義に要するコスト負担」の議論が深まらないのかなと思う。

高度成長期からの転換期にあたって保守政治の質的転換を図ろうとしたであろう大平さん(同日選最中での急逝が悔やまれます)と、ある意味で欧州的な社民主義者たろうとした菅さん。もう少し再検証というか再評価がされても良い気がします(菅さんはまだ現役ですが)。

日本において、欧州的な社民主義の担い手の第一は、社会民主連合。その次が(あくまで擬似的にではあるけれど)90年代くらいまでの宏池会…と個人的には思う。ここに社会党や社会民主党が出てこないのが、日本政治における中道左派不毛の一つの要因だと思う。

なにはともあれ、福祉や受益に見合う負担を提示しない政党や候補者は、信用しないことにしている私です。

余談:社会民主連合は、結成から解党に至るまで、所属国会議員数が常に一桁の政党。それだけの小規模でありながら、出身者の菅直人さんが内閣総理大臣(内閣)、江田五月さんが参議院議長(国会)と、三権の長のうちの二権につき長を務めたという意味で、かなり異色の政党だったりします。

LGBT議連 立法化チーム報道に関する記事の比較

「LGBT議連が立法化チームを立ち上げる」とのニュースを各社が報じています。

昨日、メディアリテラシーについて取り上げた手前、ここでは、Googleニュース検索でヒットした各社見出しとURLを貼り付けておきます。ぜひ読み比べてみてください。

各社の記事を全部取り上げている人もそうそういないと思うので(^_^;)、このエントリーはシェア歓迎です。

以下、Googleニュース検索でのヒット順

NHK
LGBTへの差別解消 超党派で立法作業へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160127/k10010387701000.html

東京新聞
LGBT超党派議連 差別防止へ立法検討
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201601/CK2016012802000127.html

毎日新聞
議連が差別禁止法案策定作業着手へ
http://mainichi.jp/articles/20160128/k00/00m/010/048000c

日本経済新聞
LGBT巡る超党派議連、立法検討チーム設置
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASFS27H42_X20C16A1PP8000/

産経ニュース
差別解消へ立法化チーム 性的少数者で超党派議連
http://www.sankei.com/smp/politics/news/160128/plt1601280005-s.html

LGBT関連の国会質問/答弁報道から考える、メディアリテラシーの必要性

今週、LGBTに関し、民主党の岡田克也代表が衆議院本会議の中で質問を行ない、安倍晋三総理大臣も答弁を行ないました。

衆議院のビデオライブラリでも、その模様が公開されましたので、早速当該部分を視聴。私が視聴した範囲につき、文字に起こしたものが以下の通りです。


岡田克也 民主党代表による質問

性的少数者、LGBTに対する差別をなくすことは、特に若い世代にとって大きな意味を持ちます。LGBTの子どもたちの7割が学校でいじめに遭い、3割以上が子どものうちに自殺を考えたと答えているのです。私は、多様性を認め合うことで、より豊かな社会がつくられていくと信じています。これら差別を解消する法案を、今国会で成立させようではありませんか。安倍総理も賛同してください。答弁を求めます。


安倍晋三総理大臣による答弁

LGBTについてのお尋ねがありました。LGBTと言われる、性的少数者に対する不合理な偏見や差別があることは、誠に残念なことでありますが、政府としては、今後の国民的な議論等も踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。今後ともこうした偏見をなくし、ひとりひとりの人権が尊重される、豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実、個別事案に対する適切な対応に努めてまいります。

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安倍晋三総理大臣による答弁の要旨は、以下の通りです。
(1)「(法制化については)国民的な議論等を踏まえた慎重な検討が必要」
(2)「教育や啓発の充実、個別事案に対する適切な対応に努める」

この答弁に関し、朝日新聞は「性的少数者の差別解消、法制化に慎重な考え 安倍首相」という見出しの記事をアップしています。

http://www.asahi.com/sp/articles/ASJ1V4QZ2J1VUUPI001.html

記事自体を読み進めると要旨(1)(2)両方について触れていますが、読者は見出しに影響されやすいものです。

この見出しですと、「要旨(1)=政権は法制化に慎重(?)」という印象が強くなってしまいます。見出しの重要性については、新聞社側も十分に認識しているでしょうから、朝日新聞側もこうした効果を狙っているのかもしれません。

しかし、上でも触れている通り、総理大臣は、個別事案に対する適切な対応に努めるとも言っているわけです。

事実のうち、どこに力点を置いて報道するかは、千差万別。しかし、情報の受け手は、報道されている見出しや内容が、事実そのものだと思ってしまいがち。

メディアによる報道は、あくまでメディアという「フィルター」や「フォーカス(=取捨選択)」がかけられたものであり、事実そのものではありません。

事実により迫るためには、できるだけ情報の原典に当たったり、複数のメディア報道を比較しながら検討することが重要。

というわけで、LGBT関連の報道に限らず、メディアリテラシーって大切だなぁというのが、今回のブログエントリーの結論です。

超党派での取り組み・補遺


先日、私が「LGBT政策・施策については超党派で取り組むべき」「超党派的なロビイングと、党派的な活動は分化すべき」というメッセージを発したのは、ご存知かと思うのですが。

その後、「赤杉は特定の党派に媚びを売っている」「節操がない」という言説が、ツイッター等で流れているようです(というか、私自身、目にしてしまった(笑))。

私は「LGBT政策・施策におけるロビイングに関しては、超党派・全方位外交で取り組むべき」と言っただけで、その他の政策分野については言及していません。

それに、超党派的なロビイングが嫌であれば、「自分の党派性を明示した上で」(←ここ大事)党派的な活動や主張をすれば良いわけです。その事についても、以前のブログ記事で触れています。

政治とは「多様な人々による、多様な利害の調整」です。だからこそ立場の違う人同士、議論や対話を続けることが重要であることを、今一度申し添えて、私からの見解としたいと思います。

党派を超えたLGBT施策への取り組み、始まるか?

 自由民主党政調会長 稲田朋美代議士の「LGBT:すべての人にチャンスが与えられる社会を」という記事が、ハフィントンポスト日本版サイトに掲載されました。

 今年9月末、ワシントンでの講演でもLGBT施策の必要性について触れた稲田さん。今回は、学校での教育や職場での差別の問題など、より具体的な問題に踏み込んでいます。同性婚についても、「日本で意見が収斂するのはまだ先であろう」としつつ、「私はこの問題で日本の社会が二分されるのは望んでいない。あくまでも原点は、生まれながらにおかれた境遇や身体的状況によって差別がなされてはいけないということ」と決して否定的には断じていません。

 なにより、

 「そのような社会(赤杉注:「すべての人々が生まれながらに置かれた境遇や身体的状況によって差別されることがあってはならず、すべての人々にチャンスが与えられる社会」のこと)を実現するためには、LGBTでない人が問題意識を高めどうしたらいいのか議論を深めること。そこに政治家の役割があり、保守もリベラルも関係はないと考える」

と、党派性を超えてLGBTが抱える問題に取り組むことの重要性について、国政与党第一党の政策責任者が言及しているのは非常に意義深いと思われます。

  ここ1~2週間ほど、自由民主党の自治体議員による同性愛に関する残念な発言が相次いでいますが、その議員さんや所属する支部の方々に「貴党の政調会長はこのように発言なさってますが、いかがお考えですか?」と問いかけてみるのも良いかもしれません。

  私は9月末の稲田さん講演に際して、自分のブログ記事「LGBT政策の実現に向け、どこまで透徹して戦略的・現実的であるべきか?」(10月2日付け)で以下の通り書きました。この点、今も同じ考えです。

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 恐らく、SNSで私と繋がっている人の多くは「そう言ったって、稲田氏は信用できない!」「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と思っていらっしゃる事でしょう。中道主義~穏健中道左派主義者の赤杉康伸としては、確かにそう思うところも多分にあります。

 ただし、国政レベルにおけるLGBT政策を現実的に進めたいロビイストやロビイング団体等にとって、稲田氏の今回の発言は大いなる「好機」になる可能性があります。繰り返しになりますが、これは、国政与党第一党の政策責任者が行なった発言なのですから。

 ロビイング団体を含む利益団体・圧力団体とは、政治学的に「特定の集団の利益を図るべく政治活動を行う団体で、目的を実現するために政治に組織的に影響力を及ぼす」(wikipedia「利益団体」より)団体のことです。合法的に使えるものであれば何でも使って、政策実現を図るのが、本来的なロビイング団体なのです。

 仮に、LGBT政策を現実的に進めたいと考えている、戦略的で透徹しているロビイストであれば、「LGBTの事にさえ取り組めば、他の事はどうでも良いのか?」と問われたとしても、迷わず即座に「Yes」と答えるでしょう。というか、ロビイストであるならば、そう答えなければ間違いなんじゃないかとさえ、私個人としては思います。

 私は今、活動を全面的にお休みさせていただいてますが、ロビイング活動している時の自分ならば、やはり即座に「Yes」と言うでしょう。
 
 LGBTが社会的な認知を得ていくということは、かつてのような「LGBT政策=進歩主義的・左派的」(「リベラル」という、曖昧に取り得る言葉は、敢えてここでは使いません)という専売特許的な構図が崩れ、(その人の内心や本心はどうであれ)各党派でLGBT政策の必要性を唱える議員が増える事を意味します。つまり、稲田氏発言のようなケースは、今後ますます増える事が予想されるわけです。

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 また、10月27日付けのブログ記事「超党派的活動と党派的活動の分化が必要」では以下のように書きました。今後、以下の方向に動くことを個人的には望んでいます。

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 今後は、各党派でLGBT政策・施策の必要性を唱える政治家が増えることが予想されます。そうした状況において、ロビイストや活動家が影響を及ぼそうとするためには、多様な関係者=各党派の政治家への働きかけ、いわゆる「全方位外交」が必要となってくるからです。
 
 さて、欧米各国では、「全方位外交」を行なうLGBTロビイング団体の他に、「各政党の党員による、党内当事者・支援者グループ」「各政党の支持・支援団体や圧力団体メンバーによる、団体内当事者・支援者グループ」というものがあります。それらのグループは、自分たちが所属する/支援する政党や団体内部に働きかけ、LGBT政策・施策の推進を目指しています。
 
 例を挙げて言うと、アメリカ合衆国の共和党には、LGBT当事者・支援者の党員によるグループ「ログ・キャビン・リパブリカン(Log Cabin Republicans)」 http://www.logcabin.org/ が存在し、共和党がLGBT施策を推進するよう、共和党内部での働きかけを行なっています。
 
 翻って日本では、「LGBT政策・施策の実現に向け、超党派的にロビイング活動を行なうLGBT活動家・専門家や団体」「自らの党派性を明示した上で、党派的な活動の一環として、LGBT政策・施策の必要性を訴える活動家・専門家や団体」が、今まではやや未分化な状態であったかと思います。
 
 正確に言えば、「党派性を帯びた(=これ自体は悪くないし、生きている以上、党派的であること自体は当然なのですが)活動家・専門家や団体が、『LGBT(全体の利益)のために』と謳いつつ活動しているケース」が多かったという印象を個人的には持っています。率直に言えば、「あなた、それはLGBTコミュニティの一員として発言してるの?それとも、××党の党員・支持者として発言してるの?」と確認したくなる場面が、これまで何度も見受けられました。
 
 今後、LGBT政策・施策実現を目指す活動に厚みを持たせる上でも、「LGBT政策・施策の実現に向け、超党派的にロビイング活動を行なうLGBT活動家や団体」「自らの党派性を明示した上で、党派的な活動の一環として、LGBT政策・施策の必要性を訴える活動家や団体」が分化していくことが、個人的には望ましいと考えています。

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プロフィール

赤杉康伸

Author:赤杉康伸
赤杉康伸(通称:NOV)

1975年5月、札幌市生まれ。2001年3月下旬から東京在住。2001年3月、北海道大学大学院 法学研究科修士課程(専修、公共政策コース)を修了。

札幌・東京における性的マイノリティ中心のパレード運営に参画。その間、2004年7月には、共編著で「同性パートナー -同性婚・DP法を知るために-」(社会批評社)を出版。

現在、東京メトロポリタン ゲイフォーラム 共同代表。NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク 理事。特別配偶者法全国ネットワーク メンバー。

当面は、近況報告や政治関連の記事をアップ予定です。「複雑な現実に向き合いながら折り合いをつけ、相手に『敵方』のレッテル貼りをせず、まずは対話を重視する政治」「多様な人々の、多様な利害を調整する政治」がモットー。

Twitterはこちら。メールはy.akasugi@gmail.com まで

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